【緊急避妊薬】「早くどうにかしなきゃと…」薬局で“買えなかった”女性たちの切実な声──薬局販売この先どうなる?
馬野記者 「はい。去年の11月から全国145の薬局で試験的販売が開始されて、今も続いています」 庭野解説委員 「全国で145だとかなり少ないですよね」 馬野記者 「1都道府県に3つあるかないか。しかも、価格に関しては7,000円から9,000円と、決して安いとは言えない値段で試験的販売をされているということです」 「販売できる薬局には条件があります。薬剤師がしっかりとした研修を受けてそれを修了すること、夜間や土日祝日も薬剤師が対応できること、近隣の産婦人科などと連携が取れること、個室などプライバシーを確保できる空間を作って相談に乗れること、などです。さらに、販売対象は16歳以上となっていて、18歳未満には保護者の同意が必要となっています」 「先ほどの市民団体とは別で、日本薬剤師会が行ったアンケートによりますと、2か月で試験販売された数は2181件。購入者の8割以上が今後も薬局での販売を希望しているという結果が出ています。他にも、購入者のほとんどが薬剤師の対応に満足していると回答しています。また、土日の利用者は27%だったということです」
■“検証が不十分”とされるのはなぜ?女性が自分自身の体を守る選択肢を
馬野記者 「今回の試験的販売は、去年11月から今年の3月までで1度終わる予定だったんですが、販売期間が短かったこともあって、今回のデータでは薬剤師だけで適切な販売ができるかの検証が不十分だとして、今年度も調査研究を続けることになりました」 庭野解説委員 「各国は既に薬局で売っていて、どうして日本だけこんなに議論がずっと続いているんでしょうね」 馬野記者 「政府関係者に取材したところ、重要なポイントの1つは、販売する薬剤師側が対応できているかの検証だというんですね。緊急避妊薬を求めてくる人の中には、性暴力に巻き込まれて悩んでいる人がいる可能性もあります。そういう人をしっかり必要な相談機関につないだり、産婦人科で診てもらったりする必要があります。これまでは医師が診察することで患者の異変や困り事に気付く機会があったんですが、OTC化(注:医師の診断なしで薬局で買える)することでその役割を薬剤師が担うことになります。かなり高度な対応が求められることになるんです。また、チェーン店などでは薬剤師の少ない薬局もありますよね。そういったところで十分な対応ができるのかも、今回の試験販売でしっかり検討しなければいけないという話があります」 庭野解説委員 「売る時に、例えば女性に対して失礼な言い方をしないようにというのも薬剤師の中では勉強が進んでいるという話ですけどね」 馬野記者 「性交渉も妊娠も、女性の自分自身の体のことだと思うんですよね。これを自分でチョイスする、そういう選択肢がより多くできるのがいいのかなと思います。緊急避妊薬も、産婦人科で診察を受けてから、もらいたい人もいれば、自分で薬局で買いたい人もいると思うので、薬の入手方法の選択肢が増えるのは、女性が自分自身の体を守る選択肢を増やすということにもつながっていくんじゃないかなと思います」 庭野解説委員 「本当にその通りですね。男性パートナーの方も悩みがあるでしょうけど、やっぱり女性が特に悩みを引き受けるわけで、必要に迫られている声が上がっていますよね。薬を使うかどうか、そもそも性交渉をするかどうかも、パートナーとちゃんと話ができて、女性たちが自分自身でそれを選ぶことができるようになっていくといいなというふうに思いますね」
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日テレ報道局ジェンダー班のメンバーが、ジェンダーに関するニュースを起点に記者やゲストとあれこれ話すPodcastプログラム。MCは、報道一筋35年以上、子育てや健康を専門とする庭野めぐみ解説委員と、カルチャーニュースやnews zeroを担当し、ゲイを公表して働く白川大介プロデューサー。 “話す”はインクルーシブな未来のきっかけ。あなたも輪に入りませんか? 番組ハッシュタグ:#talkgender