「困難な問題を抱える女性支援法」4月施行前に問題山積で不安の声
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」(以下、支援法)が4月から施行される。同法は、女性が女性であることによって、さまざまな困難に直面することが多い状況を鑑み、福祉増進などを目的に2022年5月成立。外国人も含む若い女性が、暴力や貧困などの複合的な困難を抱える中、たとえば適切な支援を得られないまま出産して新生児が死亡するといったケースについても包括的に支援できる社会を目指している。 その支援法の施行を前に、各都道府県が同法を実施する基本計画案の公表を始めている。ところがその内容をめぐり「議事録が非公開で具体的な計画が見えないまま議論が進められた」「実施の中核である婦人相談機関の拡充が見えない」「民間の支援団体が委員におらず、連携について具体的ではない」などの問題を指摘する声が、女性支援の関係者から上がっている。 東京都も2月16日~3月18日に基本計画のパブリックコメントを募集。家族からの暴力にあうなど自宅に戻れない未成年の女性たちが集まって生活したり、困窮する女性の売買春の事例が多い新宿・歌舞伎町を抱えたりしているだけにその動向が注目されている。 都の福祉局子供・子育て支援部育成支援課によると、パブコメを集約し、計画に反映させるか否かを判断のうえ計画検討委員会をもう1回開いて審議を経た後、3月末までに策定を進める予定とのこと。募集の締め切りから残り2週間を切る中で進める流れだ。委員会の議事録は、話し合いに出てくる事案のプライバシー確保などのため公開してこなかったという。 計画の実施期間は来年度からの5年間。困難な問題を抱える女性の人権擁護や、男女平等の実現に資するものとして、本人の意思を尊重しつつ安全に、かつ安心して自立した生活を送れるようにすることを基本理念とする。 支援法では、1956年制定の売春防止法を根拠にした保護更生ではなく、福祉の視点から女性の支援が行なわれることへの期待が寄せられている。東京都の場合、都の女性相談支援センターや、都・区・市の各自治体に配置された女性相談支援員、または女性自立支援施設の基盤の充実・強化なども明記。医療機関や警察、民間団体との連携・協働による支援体制の構築も、計画策定のポイントとして掲げられている。