旧ジャニーズ性加害問題「470億円」巨額訴訟の行方…スマイル社の“逃げ切り戦術”は米国で通用するのか
旧ジャニーズ事務所の創業者である故ジャニー喜多川氏による未曽有の性加害で、元所属タレント2人が470億円超の損害賠償を求めスマイルアップと藤島ジュリー景子前社長らを米ネバダ州の裁判所に提訴。旧ジャニーズ側の動向に注目が集まっている。 【写真】今年、大躍進を遂げたNumber_i スマイル社は原告2人について「日本国内にお住まいであり、米国の裁判所には管轄は認められないものと考えている。米国の弁護士にも相談しながら、今後の対応を進めていく」などとし、どこか余裕の構えだ。「裁判にならない可能性もあるからでしょう」と、法曹関係者がこう言う。 「被害の証明、証拠が不十分だとして裁判所が訴えを認めない可能性、さらに訴訟を起こした管轄の部分はたしかにその通りと見られかねず、これらをクリアしないと法廷闘争にまでいけないということは考えられます。さらに(旧ジャニーズの顧問である)西村あさひ法律事務所には裁判自体の無効化を求める動きがあり、どうなるか分からない状況ではある」 提訴した元ジャニーズJrの田中純弥氏と飯田恭平氏サイドはどんな法廷戦術で挑むのか。原告代理人のクリストファー・ブレナン弁護士はアメリカで訴えを起こしたことに「過去に遡って責任を追及し、より広い範囲で証拠開示を求めることができるため、被害の実態を明らかにできる」とし、470億円超という賠償金の請求額については「アメリカでは性的虐待の被害者に対する補償が日本よりも大きく設定される傾向がある。『とてつもない悪』だと陪審員に判断してほしい。最悪レベルのパワーハラスメント」とメディアの取材に答えている。 さらに、「依頼人は日本での補償は求めていない。日本のシステムは完全に(旧)ジャニーズ事務所に管理されていると認識している」とも。元「当事者の会」代表で作家の平本淳也氏はこう言う。 「この海外訴訟については昨年、ハワイでの被害をアメリカ国内で訴訟ができるかどうか模索したことがはじまりでした。当事者の会ができて間もなくのころ、当初のメンバーたちでアメリカを本拠地とした海外法人を持つ法律事務所を訪ねて相談したのですが、ハワイ州では時効が成立していて難しいとされ、本土での被害について告発しようという動きになっていったのです」