Amazon本社に潜入!一般の人にも公開されている“植物だらけ”のワークスペースは、まさに都会のオアシスだった
大地と生きる「グラウンドスケープ」を探して世界中を旅した造園家の齊藤太一さん。 今回はアメリカ・シアトルのAmazon本社にあるオフィス「スフィアーズ」を訪れました。 【写真でチェック】Amazonのシアトル本社前に鎮座する3つの巨大なガラスドーム「スフィアーズ」 ユニークな外観が特徴の植物園のようなオフィスで、齊藤さんは「都会のオアシスのあり方」について考えたのだそう。その内容について、じっくり語っていただきました。
1000種4万株以上の緑に囲まれたワークスペース
Amazonのシアトル本社前に鎮座する3つの巨大なガラスドーム「スフィアーズ」。人間は自然に触れることでストレス値が下がり集中力が上がるという「バイオフィリア」の概念から生まれた、4万株を超える植物に囲まれて過ごすことができるワークスペースです。 コロナ禍を経験し、必ずしも会社へ行く必要がないことに気づいた今、わざわざ出かけるならこんな気持ちのいい、行く意味のある場所がいい。まさに「都会のオアシス」。オアシスというのは、何もないところに「点で」「急に」「高い密度で」自然・生態系が現れたものを指します。
凝縮したグリーン空間を増やして都会に癒やしを
日本の都会で、広大な土地を緑化するのは難しい。ごく限られた小スペースでいいから、その空間をとにかく緑でいっぱいにする。本来の意味でのオアシス的空間=凝縮した圧倒的な緑量空間を点在させる方法なら、都会にも緑の恩恵を感じられる癒やしの場を増やすことができると考えています。 コントロールされた自然をつくると維持にも手がかかりますが、すき間なく植えてやれば生態系が育まれメンテナンスが簡単になるという大きな利点もあります。
圧倒的な緑量が人間の「オフスイッチ」に
最近、僕は視界に入るのは植物だけくらいの圧倒的な緑量のなかに身を置きたいと、以前より強く感じるようになってきました。ニュートラルな状態に戻れる瞬間を欲しているんだと思います。 現代人は常に情報に囲まれて、オンとオフが切り替えづらい。そんな生活のなかで、どんどん感情がフラットになっている気がする。本来あるべき感情の起伏を認めてさらけ出し「自分にとってのよきもの」を選択できたなら、一人ひとりの生き方、ひいては社会全体にも変化が起こる。 小ぎれいに整えられた緑は「自然」というより「人工物」に近い。思わず脳がフリーズするくらいのダイナミックさ。思考よりも本能が表に出てくるような圧倒的な緑が、人間を感情豊かにする「オフスイッチ」になると考えています。