日本株には「超強気」だが…経済の専門家が米国株の「バブル化」を警戒する理由
「新産業革命」や財政拡大、株高など、米国経済は“好調すぎる状態”が続いています。こうしたなか、米国経済の「バブル化」の可能性を指摘するのが、株式会社武者リサーチ代表の武者陵司氏です。その根拠について、詳しくみていきましょう。 【画像】「30年間、毎月1ドルずつ」積み立て投資をすると…
米国経済は“好調すぎる”状態?…利下げは9月まで見送りか
米国経済は完全雇用のもとインフレも沈静化しつつあり、ソフトランディングの可能性が高まっている。雇用好調だがいまのところ賃金上昇は加速していない。 3月の雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月比30.3万人増と、市場予想(20万人増)を大きく上回った。雇用は全産業で増加している。平均時給は前年比4.1%増と、2月の4.3%から低下した。移民の増加や労働参加率の改善などの供給増も寄与している。 しかしいままでのベストシナリオであった経済の底堅さは、今後のリスクシナリオに転換するかもしれない。この成長ペースが続けばいずれ物価が加速する可能性が高い。 またバラ色シナリオがバブルの種を作る。2023年GDP2.5%に続き2024年1Qはアトランタ連銀によるGDPナウでは2.5%と好調である。地区連銀総裁は相次いで、インフレ高止まりや好労働需給に言及し、利下げを急ぐべきではないと強調しはじめた。 実際、3月のCPIは、前年比3.5%上昇と2月の3.2%から加速、市場予想3.4%を上回った。ガソリンと住居費の上昇が主因だが、賃金の下げ止まりによりFRBが気にしているコアサービス価格の上昇率が高まっており、利下げ遅延観測を強めている。市場ではFRBが9月まで利下げを見送るという観測が強まった。
金・ビットコイン価格の高騰は「投機化」のサイン
年初の米国株式の急騰とともに、米国金融市場では投機色が強まっている。金価格は年初来14%と急騰し史上最高値を更新した。 米国の物価指標が市場の想定を上回り、インフレ懸念が再浮上したこと、中国やロシア、トルコなど新興国中央銀行による金買い、株バブル崩壊に備えたリスクヘッジ等、が指摘されている。株価の低迷や不動産市場の悪化などで「有効な選択肢を欠く中国の投資家が金を買っている」との説もある。 昨年は3万2,000ドルから4万ドル未満で推移していたビットコインも、年明け以降急騰を始め3月末には7万ドルと半年で2倍になり、2021年11月につけた過去ピークを更新した。 金・ビットコインというまったくキャッシュを生まない資産価格の急騰は、市場が投機化しているシグナルと受け止められる。 また投資資金は潤沢で家計の豊富な貯蓄がMMFを通して米国国債に流入している。
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