ミュージカル『イザボー』王妃を演じる、望海風斗さんインタビュー
舞台は14世紀末のフランス。ジャンヌ・ダルクが登場する少し前の時代に、男たちの権力闘争を逆手にとり、我欲のために息子すら道具にして絶対的な権力を手に入れた、フランス史上最も強欲かつ悪辣な王妃がいた。ミュージカル『イザボー』でその王妃に挑むのは望海風斗さんだ。
ケープ¥24,200・ワンピース¥46,200/モガ イヤリング¥2,100・リング¥12,600/アビステ
「確かにひどいことをした人だなとは思うのですが、当時の王族の女性は政略結婚があたりまえで、彼女自身もそんな中を生きてきたんですね。その逆境の中で闘い続けた彼女の強さを出せたらいいなと思っています。だんだんまわりが見えなくなっていって限界を突破して国を売り飛ばすにいたる、その覚醒っぷり。そこをきちんとお客さまに伝えたいです。音楽も、ロックやポップな曲やメロディのおもしろい曲が多いのですが、そこに重厚な台詞たちをどう乗せればいいのか、私も目下格闘しているところです」 宣伝ヴィジュアルにも注目だ。この迫力、この艶麗さ、そして邪悪さのにじむ微笑み。よく見ると眉がほとんど描かれていない。 「眉がないほうが色っぽくなるんじゃないかという、事務所の社長のひと言でこうなりました。インパクトがありますよね(笑)。眉って大事だなと改めて思いました」 宝塚歌劇団在団中はアル・カポネやロベスピエール、新選組副長にベートーヴェンと、実にさまざまな男たちを務めてきた。 「娘役はウィッグを使って雰囲気をいろいろと変えられるのですが、男役は自毛のことも多くて髪型で役柄を表現するのがむずかしいんです。なのでよけいにメイク、特に眉がポイントになるんですね。例えば悪役だからといって吊り上げればいいわけでもないのだなとわかってくるし、花組にいたころは細く描くことが多かったんですが、雪組に組替えしてから太めになっていったような気もします。そうやってしだいに、自分の顔に役柄をなじませられるようになりました」 雪組トップスターとして大人の男の色香と圧倒的な歌唱力で多くのファンを魅了してきた。退団後も『DREAMGIRLS』などミュージカル作品に立て続けに出演。目覚ましい活躍が続く。なのにずっと変わっていないこんな一面も。 「あいかわらず睡魔に弱いんです」と急に小声になる望海さん。 「でもこれじゃいけないなと最近早寝早起きを始めたんですよ。8時の朝ドラを目標に起きよう、午前中を有効に使えば夜は遅くても12時には寝られるぞと。それがですね、必死に起きてなんとか朝ドラ見終えたら……二度寝しちゃうんですよ~。二度寝ってちょっとだけ、と思っても起きられないものじゃないですか。’24年の目標は、まずは朝ドラのあと、ちゃんと起きて行動することです(笑)」