【フィリーズレビュー回顧】エトヴプレの逃げ切りは近2走に布石あり 本番でよさそうなセシリエプラージュ
コラソンビートに集まった視線
チューリップ賞に続き、フィリーズレビューも波乱が待っていた。阪神JF5着以内のうち、1、2着は桜花賞直行。4着サフィラがクイーンC9着で桜花賞出走が危うくなり、3、5着がここに駒を進めた。ある意味でチューリップ賞より出走メンバーがそろいながらも波乱決着。桜花賞は直行した1、2着馬ですんなりいくだろうか。どうも今年の春は牡牝とも荒れ模様の予感がある。 【金鯱賞2024 推奨馬】勝率75%で複勝率100%データに該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) このレースの核はコラソンビートだった。阪神JF3着の3勝馬で実績的には完全に抜けた存在といえる。結局、この馬の位置取りがレース結果を左右した。栗東へ早めに入厩したことで、平常心を保ち最内からソツなく好位に収まった。スプリントで勝ちあがった馬を中心に、行きたい馬にとって好位のコラソンビートは早々に離しておきたい存在だ。その意識が高まり、前半600m33.8と序盤から速い流れになった。最内の絶好位に人気馬がいるため、ペースを落とすわけにはいかない。先行馬は厳しい流れに身を投じた。 コラソンビートの後ろにいる馬たちのターゲットも当然、最内にいる1頭。この馬より先に動きたくない。先行勢のハイペースの影響もあり、途中で動く馬はほぼいない。前が飛ばし後ろが動かない。各馬の意識はコラソンビートに集まった。ハイペースでもあり、止まるだろうというスキをついたのが逃げたエトヴプレだ。11番人気で失うものはない。桜花賞出走を目指すなら行くだけ行ってスピード勝負しかない。作戦をひとつに絞れたことで迷いなきレースに持ち込めた。
前に行く馬はいつか恵まれる
エトヴプレはキャリア5戦すべて1200mという生粋のスプリンター。コラソンビートを含め好位勢も坂で止まると踏んでいたのだろう。ところがこれが止まらなかった。逃げたのは新馬戦だけ。好位で控えるレースを経験しつつ、1400mでも上手に走る術を身につけていた。序盤600m33.8は近2戦と同じペースで走りやすかった。急坂から残り200mを踏ん張れたのはエトヴプレの進化であり、コラソンビート包囲網の間隙をついたものだ。行けばわかるさ。前に行く馬はいつか必ず恵まれる。エトヴプレにとってそれが今回だった。 父のトゥーダーンホットはサセックスSなどGⅠ・3勝のスプリントチャンピオン。その父ドバウィといえば産駒が欧州各地や米国、香港、豪州など世界中のGⅠを勝つ世界的種牡馬。あらゆる環境に適応する力を内包する。父が短距離系なのでマイルまでこなせるか微妙で、桜花賞でもとはいえないが、エトヴプレが権利を獲得したことで本番は締まった流れになりそうだ。