“最適条件”の小倉2歳S制したエイシンワンド 血統背景から息の長い活躍も期待大
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】 ◆血統で振り返る新潟記念 【写真】エイシンワンドのこれまでの軌跡 【Pick Up】シンリョクカ:1着 サトノダイヤモンド産駒の重賞勝ち馬は、サトノグランツ(京都新聞杯、神戸新聞杯)に次いで2頭目。 母レイカーラはターコイズS(OP)の勝ち馬で、ダノンシャーク(マイルCS、富士S、京都金杯)の半妹にあたる良血。下河辺牧場が誇るカーラパワーのファミリーです。 サトノダイヤモンドは、キズナ、コントレイル、シルバーステート、リアルスティールなどと同じディープインパクトの後継種牡馬。母方にカーリアンを持つ配合はニックスで、勝ち上がり率61.5%、連対率23.1%、1走あたりの賞金額429万円。サトノダイヤモンド産駒全体は、それぞれ33.3%、15.4%、140万円なので、明らかにニックスといえるでしょう。本馬の他に、前出のサトノグランツや、CBC賞(GIII)2着のスズハロームが出ています。 下河辺牧場はサトノダイヤモンドと相性抜群で、これまでに出走した8頭の生産馬のうち6頭が勝ち上がり、本馬の他に3歳牝馬の大器オーロラエックス(現2戦2勝/ビヨンドザファザーの半妹)が出ています。 サトノダイヤモンドは昨年まで社台スタリオンステーションに繋養されていましたが、今年からリアルスティールと一緒にブリーダーズ・スタリオン・ステーションに移りました。種付け料は初年度(2019年)の半額の150万円。ちなみに、同所を運営する株式会社サラブレッド・ブリーダーズ・クラブの代表取締役は、有限会社下河辺牧場の代表取締役でもある下河辺行雄さんです。 ◆血統で振り返る小倉2歳S 【Pick Up】エイシンワンド:1着 父ディスクリートキャットは、オオバンブルマイ(京王杯2歳S、アーリントンC、ゴールデンイーグル=1着賞金約5億円の豪州レース)、エアハリファ(根岸S)などの父。ストームキャット系のアメリカ血統で、芝・ダート兼用のスピードタイプ。パワーを秘めるだけあって道悪適性が高く、馬場状態別の芝連対率は、良=11.4%、稍重=14.5%、重=18.9%、不良=22.2%。コンディションが悪化するにしたがって上昇しています。 また、中京芝コースを得意としており、連対率25.6%は全10場の芝コースのなかで最も優れています。 今年の小倉2歳Sは、中京競馬場に場所を移して行われ、なおかつ台風の影響で重馬場でした。エイシンワンドにとっては2つのファクターが追い風となったというわけです。 もちろん、デビュー戦を好内容で勝っているように、条件に恵まれたから勝てた、というわけではありません。本馬は「ディスクリートキャット×タイキシャトル」という組み合わせですが、母方にタイキシャトルを持つディスクリートキャット産駒は、他にニシノカシミヤ(オープンクラス)が出るなど、勝ち上がり率、連対率、1走あたりの賞金ともディスクリートキャット産駒全体の成績を大きく上回っています。同産駒は息の長い活躍をする仔が目につくので今後が楽しみです。とりあえず来年3月のファルコンS(中京芝1400m)はおもしろそうです。