山陽オイル、創業地・切串の海を再生。魚礁・藻場を設置
船舶燃料供給事業を手掛ける山陽オイル(本社・広島市)が海の再生を目的に、創業地の切串(広島県江田島市)沖で漁礁・藻場の醸成に取り組んでいる。切串漁業協同組合(橘康夫組合長)と共同で、海洋建設(本社・岡山県倉敷市)開発の藻場造成小型ブロック「貝藻くん」を設置。太平洋マテリアル(同・東京都北区)の協力を得て、太平洋セメント(同・東京都文京区)開発の水質浄化材「セラクリーン」も設置する。 漁礁・藻場の醸成は、海藻の着生、幼稚魚の保護育成、餌生物の増加の効果がある。山陽オイルは今回のプロジェクトを通じて、海洋環境保護とCO2(二酸化炭素)削減に貢献し、将来的にブルーカーボン(海洋生物により吸収・貯留された炭素)のクレジット発行を目指す。 切串は山陽オイルの山本龍明社長の出身地でもあり、今回、切串漁業協同組合に協力を呼び掛け、太平洋マテリアルの協賛も得てプロジェクトを実現した。 山陽オイルが「貝藻くん」40個、太平洋マテリアルが「セラクリーン」20個、切串漁業協同組合がタコつぼ80個をそれぞれ提供し、3月中旬に水深3―5メートルの海底に設置した。 設置エリアは遠浅の海域で、かつてはアマモが群生していたが、護岸工事や埋め立てにより海中の酸素濃度が低下、海藻が減少し生物の多様性が失われてしまった経緯がある。山陽オイルは今後、半年に1回の頻度で経過観測を続け、海の再生を見守っていく方針。併せて、児童や生徒に生物の研究の場を提供することも考えている。 山陽オイルはこれまでも海洋プラスチック回収や切串海岸での清掃美化活動、バイオ燃料供給による低炭素輸送への貢献など瀬戸内海の環境保全に取り組んでいる。
日本海事新聞社