「天才肌」川野と「努力家」池田 年も出身も大学も所属も同じ競歩選手二人の明暗
競歩選手の川野将虎(26)と池田向希(こうき・26)は切磋琢磨し合ってきた仲である。 【写真をみる】華々しい活躍を続ける「川野将虎選手」 スラリとした長身の26歳
「同学年でともに静岡県出身ですが、高校時代は川野の方が圧倒的な成績を残していました」 とスポーツ紙陸上記者が語る。二人はそろって東洋大学に進んだが、競歩選手の推薦枠が川野で埋まり、池田はマネージャーとして陸上部入部を許された。その後、世界競歩で優勝を果たしたことで、マネージャー兼務は解かれたという。 「体格に恵まれた川野は天才肌。努力家の池田は、短いストライドを高速ピッチで補っています」 川野は50キロ、池田は20キロで東京五輪代表に内定。卒業後、仲良く旭化成に入社し、同社所属で五輪に出場した。結果、川野は暑さにたたられ嘔吐しながらの6位。一方の池田は、本邦競歩界初の銀メダルを獲得し、時の人に。“みちょぱのはとこ”としても話題となった。 池田は翌年の世界陸上でも銀に輝く。抜きつ抜かれつの競技人生は大きく逆転したかに見えた。 さらに川野を厄災が襲う。50キロ種目が廃止されたのだ。パリ五輪で個人としての出場の道を絶たれた彼は、新種目の混合リレーに出場するも、8位に終わった。 だが、二人のレースはまだ終わっていなかった。 新設された35キロ競歩の日本選手権が10月27日に行われ、川野は2時間21分47秒の世界新記録で優勝する。来年9月の世界陸上東京大会代表にも即時内定した。
メダル剥奪や永久追放もあり得る
その5日後――世界陸連の独立監視部門「インテグリティー・ユニット」は、池田に対し、ドーピング違反の疑いによる暫定的な出場資格停止処分を発表した。 「しかも容疑は“血液ドーピング”。自らの血液を採取・保管し、レース直前に体内に戻すもので、“風邪薬に禁止成分が含まれていた”みたいなうっかりミスはあり得ず、組織的関与が前提となる。池田も旭化成も疑惑を否定していますが、悪質と判断されればメダル剥奪や永久追放もあり得る」 天国と地獄。いや、疑惑の団体に身を置く川野もくもの糸をつかんだに過ぎない。 最後は一緒に笑顔でゴールしてほしいが……。
「週刊新潮」2024年11月14日号 掲載
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