『虎に翼』“梅子”平岩紙と家制度の戦いが決着 『ブギウギ』菊地凛子がサプライズ登場!
“かよわいご婦人”になることを拒んだ梅子(平岩紙)
誰もが梅子を頼り、梅子に依存しながら、勝手気ままにそれぞれの自由を主張する。子どもたちのために我慢する梅子へのとどめの一撃が、光三郎の背信だった。母として無償の愛を注いだことも、檻の中の自由でしかないのか。妾の存在は跡継ぎを産み、家を存続させるため社会的に黙認されていた。梅子にとって手痛いしっぺ返しであり、一個人が立ち向かう相手として「家」はあまりに強すぎた。聡明な梅子は、愛する光三郎がもはや自分の元にないと知った瞬間、長年の苦闘が徒労に終わったことを悟ったに違いない。 第13週「女房は掃きだめから拾え?」は梅子が家を捨てる話である。そこには、女性を縛り付ける制度への怒りが込められている。相続を放棄した梅子は「かよわいご婦人」ではなく、梅子自身がそうなることを拒んだ。再開した「竹もと」で語り合う寅子と梅子の姿に、女子部の仲間と議論した日々がなつかしく思い起こされる。母の形見の着物を諦めて、離婚成立を優先すべきか。当時、女性は無能力者とされていた。母であることを手放し、円満解決を優先したことで梅子は無一文に近い状態になった。けれども、梅子の表情は明るい。長い闘いの果てに、梅子は自らが望む自由、自分自身の人生を手にした。
石河コウヘイ