40代の配偶者間で「性交渉を望む割合」減少が顕著 セックスレス化が加速
パートナー間で性的欲求のギャップがある場合、セックスレスに陥るケースがある。性欲の差には、性交痛が絡む場合もあるという。AERA 2024年11月25日号より。 【図表を見る】「40代の配偶者間のセックスレスの割合」はこちら * * * 性欲にギャップがあるカップルの場合、結果的にセックスレスに陥るケースもある。 田園調布学園大学名誉教授で、日本性科学会セクシュアリティ研究会代表の荒木乳根子さんが示してくれたのが、同会の「中高年のセクシュアリティについての調査研究」だ。2000年、03年、12年、22年と4回の調査を行っている。 「12年の調査で一番驚いたのは、00年と比べて配偶者間のセックスレスがどの年代でも顕著に増加していることでした。12年と22年を比較すると、女性は40~60代までと全体で有意に増加していましたが、男性では大差ありません。男性は性交頻度を誇示しがちなのか、または性交相手が女性より多く、記憶の混同があるのか。私は女性のセックスレスの回答の方が現実に近く、セックスレスは増えていると見ています」(荒木さん) 同調査の「相手との性交渉を伴う愛情関係を望む割合」を年代別にみると、40代の男女で減少が顕著で、12年と22年の比較で、男性は66%から56%に、女性は46.9%から30%に減少している。 「性交渉は互いの性的欲求、感情、都合などさまざまな要素が絡み合って成立します。その意味で高度な人間関係構築力が求められる。そういった努力を面倒と感じ、別の手段で解消すればいいという流れが強くなれば、セックスレス化はより加速するでしょう。双方がそれで良しとしているならいい。しかし、そうとは言い切れない場合も多いのではないでしょうか」(同) カップルのどちらにとっても望ましい解決策を探りたいところだが、性的欲求のギャップには、性交痛が絡んでいることも少なくない。
■性交痛が絡むケースも 近年「性交痛で困難を抱えている場合は潤滑剤を」という認識がSNSなどを通して広まってきているが、「痛いから潤滑剤」は本来の目的ではないと指摘するのは「うるおいヘルスケア」代表の小林ひろみさん。性交痛に特化したサイト「ふあんふりー」の編集長も務める。 「WHO(世界保健機関)が発行している最新版のガイドライン(※)では、潤滑剤を推奨する理由について性感染症、HIV感染、性交痛を防ぐ目的にもしっかりと触れているものの、真っ先に説明で使われるのは『快適さ』です。これはWHOの『性の健康の定義』にも関係していると考えています。痛いから潤滑剤を使う、というだけではなく、セックスとは快適で至福のひとときであるということをきちんと認識すべきでしょう」 性欲ギャップを考える上で、この小林さんの言葉も念頭に置いておきたい。(ライター・羽根田真智) ※「WHO recommendations on self-care interventions: availability of lubricants during sexual activity」 ※AERA 2024年11月25日号より抜粋
羽根田真智