”失敗”から生まれた「さっぱり豆腐めし」…食欲がない時におすすめ、夏のカンタンメニュー
伊藤清世の「あれ?コレ 介護食 plus」
1人分だけの介護食を作るって面倒、大変そう、というイメージはありませんか? かむ、のみ込む力が低下した方にも喜ばれ、ちょっとした工夫で家族みんなが食べられるおいしい食事を、在宅訪問管理栄養士で介護食アドバイザーの伊藤清世さんが提案します。 【写真】はんぺんを使ってふんわりチキンナゲット
皆さんは、食欲がない時、さっぱりしたメニューなら食べられそう、と思うことはありませんか。しょうゆだけ、甘酢だけのシンプルな味付けで、あまりごちゃごちゃしない料理がよい時もありませんか。 今回のレシピは私の失敗から生まれたメニューです。 食欲不振の在宅療養者の方にご紹介したメニューでした。ご家族の希望は「1品でたくさんの栄養がとれるとよい」、ご本人の希望は「体力が落ちないようにしたい」とのこと。 そこで、私は、体力が落ちないよう、少量でも色々な栄養がとれるようにしたいと思い、豆腐の上に、シラスや卵黄、すりゴマをトッピングしました。 しかし、ご本人はその料理を見て早々に「こんなにごちゃごちゃのっていると、食べる気がしないなぁ。見ただけでおなかがふくれる」とつぶやきました。 その日、私はそのまま帰宅し、後日、ご家族から連絡がありました。時間を置いて、ご飯の量も半分にして、豆腐とのり、かつお節だけで出してみたらペロリと食べてくれました、と。 私は、ご家族の希望と、「栄養がとれるものを食べてもらいたい」という自分の感情から、本人の希望をうまく理解していなかったのだと反省しました。 どんな場面でも自分の思いは一度、胸にしまい、本人が何を望んでいるのかを先入観なく聞くことが大切です。 今回のレシピは、あまり多くの栄養は期待できませんが、あっさりと食べられるおすすめのメニューです。シンプルな豆腐にカツオ節とのりのうまみが広がります。今回は彩りにネギや梅肉をのせましたが、なくても構いませんし、お好みでショウガやワサビに変えても構いません。 きざみネギは、カットしてパックした商品がスーパーなどで販売されていますので、利用すると便利です。ない場合は小ネギを小口切りにしましょう。 もし、もう少しエネルギーをプラスしたいときはゴマ油や揚げ玉を、たんぱく質をプラスしたい場合はシラスや卵をのせてはいかがでしょうか。