【衆院選あす公示】福島の指針見極めたい(10月14日)
15日に公示される衆院選で、県内の選挙区は定数が5から4に1減された新区割りが導入される。候補者は政治改革、経済雇用、人口減少とともに、いまだ道半ばの復興の促進策など本県の指針をどのように訴えるのか。一人一人の政見、政策をしっかりと見極めたい。 県内4選挙区には自民党3人、立憲民主党4人、共産党3人、諸派1人、無所属1人の合わせて12人が立候補する見通しだ。ベテランの前職2人が先月末に相次いで引退を表明し、いずれも新人が後継に名乗りを上げた。12日には、自民非公認となった前職が立候補を断念し、候補者が変わった。戦いの構図は公示直前まで揺れ動いた中にあっても、本格的な政策論争を展開する必要がある。 4選挙区は区割りが大幅に見直され、各陣営は組織の再構築や戦術に苦慮しているという。遊説範囲が広がり、候補者が十分に回り切れないといった声も聞く。住民との距離が遠くなり、選挙に対する関心がさらに低下する事態は避けなければならない。
福島民報社と福島テレビの県民世論調査によると、投票先を決める際に最も重視するのは「経済政策」が21・7%、「政治とカネの問題」が20・5%で、「復興政策」は12・4%で続いた。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から13年半が過ぎても、多くの県民が課題意識を持っているのが分かる。 政府の手厚い支援がある第2期復興・創生期間は2025(令和7)年度までだが、終了後の展望は不透明なままだ。原発の廃炉作業はこれからが正念場で、帰還困難区域の避難指示解除、福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)の整備も進めなくてはならない。風評の影響は各地に依然残る。復興の課題は複雑、多様化し、現状に見合った対策が欠かせない。復興は大きな分岐点に立っている。候補者は明確な道しるべを示すべきだ。 前回(2021年10月)の県内投票率は58・01%で、前々回(2017年10月)の56・69%を1・32ポイント上回った。県選管委は啓発サポーター制度を新設し、県民の投票意識のさらなる向上に努めてきた。有権者が互いに機運を高め、本県の将来像を考える機会にもしたい。(角田守良)