水玉がいっぱい 草間彌生の世界を体感できる展覧会 国立新美術館で開催中
2016年11月に文化勲章を受章した前衛芸術家の草間彌生(くさまやよい)。22日から六本木の国立新美術館で「草間彌生 わが永遠の魂」展が開かれている。 初公開の最新作約130点をはじめ、初期の頃からの作品を合計約270点を鑑賞できる草間の最大級の個展となる。
初公開の最新作「わが永遠の魂」より約130点を厳選展示
50メートルプールがすっぽり入るほどの大展示室に一歩足を踏み入れると、5メートルの高さの壁を約2メートル四方のキャンバスにアクリル絵の具で描かれた絵画群がびっしり覆う。2009年から意欲的に取り組んでいる大型絵画シリーズ「わが永遠の魂」から厳選した約130点だ。 草間のトレードマークと言っていい水玉や網目模様はもちろん、泣いたり、笑ったり、驚いたり、表情を持った細胞のような、ゾウリムシのような顔や目などが描かれている。 一点、一点、観ていくこともおすすめだが、まずは俯瞰して中央に配置されているオブジェとともにあふれる色彩のシャワーを全身で浴びてほしい。
幻覚から逃れるために絵に没頭した幼少期
最新作のあとは、これまでの草間の芸術家としての人生を振り返る構成となっている。 草間は1929年長野県松本市の種苗問屋を営む裕福な家庭に生まれた。複雑で荒れた家庭環境のもと、とくに母親との確執があり、幼少の頃より幻覚を見るようになる。その恐怖を逃れるために水玉や網目模様などの絵を描くことに没頭したという。
1950年後半に渡米 前衛芸術家としての地位を築く
やがて日本での芸術活動を続けることに限界を感じた草間は、1957年に単身渡米。欧州でも活躍し、前衛芸術家としての地位を築いた。 上の写真中央は好んでよく使用したという乾燥マカロニを張り付けて作った「マカロニ・コート」。両脇は詰め物をした突起物を使った独特なオブジェ。ほかに自らにボディペインティングを施し、恍惚状態の裸体の男女が入り乱れた宴を映像や画像などで表現した「草間の自己消滅」を発表するなどして、世界に衝撃を与えた。 絵画のみならず、彫刻、インスタレーション、映像、さらには小説や詩など、幅広い芸術活動を展開。全身全霊でのぞんだ制作活動に疲弊した草間は、1973年には活動拠点を東京に移すことになったという。