航空機から負傷者役を救急搬送する訓練

　新千歳空港緊急時対応計画検討委員会は１２日、航空機事故を想定した消火救難総合訓練を、同空港国内貨物地区の駐機場で行った。航空機を実際に使う２年に１度の大規模訓練で、今年は１月２日に羽田空港で発生した航空機衝突事故を踏まえ、より緊密な連携を確認しようと展開。９５機関・団体の約１８０人が参加し、消火や避難誘導、情報伝達などを繰り広げた。 　同空港を管理・運営する北海道エアポート（ＨＡＰ）をはじめ、航空各社や陸空の自衛隊、苫小牧、千歳両市の警察や消防、医師会などが参加した。今回は新たな要素として、災害派遣医療チーム（ＤＭＡＴ）が参加し、別会場で対策本部の運用訓練も同時に進めるなど、事故発生を想定して訓練内容を充実させた。 　日本航空（ＪＡＬ）がボーイング７６７型機を駐機場に置き、シナリオはエンジンから出火した状態で着陸し、負傷者などが多数発生する内容。参加者には詳細な情報を事前に知らせないブラインド方式で実施し、乗客役は苫小牧看護専門学校、北海道ハイテクノロジー専門学校（恵庭市）の学生約８０人が務めた。 　学生らは自力で飛行機から降りたり、けがが重くて取り残されたりとそれぞれの役を演じ、警察や消防、自衛隊が避難誘導や救急搬送、負傷者トリアージ（優先度の選別）などを実施。各団体が情報を共有しながら、作業を分担して引き継いだり、合同で行ったりと、きびきびと対応した。 　同委員会議長の袴田慶一ＨＡＰ新千歳空港事業所長は「羽田の事故を見て、より緊迫感を持って訓練に臨んだ」と強調。ＨＡＰとしては３回目の訓練を終え、「迅速な初動対応が何より大事。訓練は的確に行動していたが、次につなげることが重要。今後も安全、安心な空港を目指す」と話していた。