センバツ高校野球 常総学院、意地の1点 8強逃す スタンドは大拍手 /茨城
第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)第8日の27日、常総学院は2回戦で昨春の準優勝校の報徳学園(兵庫)に1―6で敗れた。2015年以来となるベスト8進出はかなわなかったが、最後まで諦めずに白球を追った選手たちに、三塁スタンドから惜しみない拍手が送られた。【川島一輝、来住哲司、藤倉聡子】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 常総学院は、25日の初戦で完封したエース小林芯汰(3年)が中1日で先発。試合前、「真っすぐだけでは抑えられない」と話していた島田直也監督(54)の言葉通り、140キロ台の直球に変化球を織り交ぜ、走者を背負いながらも一、二回を無失点に抑える上々の立ち上がりを見せた。 だが三回以降、報徳打線につかまる。五回までに10安打を許し計5失点。2番手の平隼磨(しゅんと)(3年)にマウンドを託し、右翼の守備に就いた。 アルプススタンドの応援団約800人の中には、千葉県で開催された全国大会参加後に合流したチアリーディング部の上級生13人の姿も。厳しい展開でも、部長の小林来妃(くみ)さん(17)は「グラウンドから見て気持ちの良いパフォーマンスで選手を励ましたい」と、スタンドを盛り上げた。 生徒会長の中島ティワン宗さん(17)が「まだまだこれから。攻めの気持ちで応援する」と意気込んだ八回、打線は森田大翔(はると)(3年)の右越え二塁打などで、1死二、三塁の好機を作ると、片岡陸斗(同)が左犠飛を放ち、1点を挙げた。九回には再びマウンドに立った小林が空振り三振などで3者凡退に抑え、最後まで意地を見せた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇大所帯まとめた主将 常総学院・若林佑真遊撃手(3年) 狙っていた甘い直球が来た。5点を追う五回2死一、二塁、2ボール1ストライクからの4球目。引っ張った打球は快音を残したが、三塁手ほぼ正面のゴロに倒れた。「球威に少し押された」と力負けを認めた。 肩甲骨の柔らかさと視野の広さを買われて2年生の春の関東大会から遊撃を守り、昨秋から小学生以来となる主将を務める。今大会の登録メンバーが発表された2月下旬以降、部員の間にモチベーションの差が生まれた際には、ベンチ外の部員に感謝の言葉を積極的に伝え、ミーティングで多様な意見を聴くことに時間を費やした。こまめに気配りして、60人以上の大所帯をまとめてきた。 冬場にウエートトレーニングで強化した下半身の踏ん張りが、守備の安定感につながっている。1回戦では1点リードの九回1死一、三塁のピンチで「大歓声に緊張した」という中、初めて打球が飛んできた。緩いゴロながら「イチかバチかの勝負」と素早く二塁へ送球し、併殺を完成させて白星をつかんだ。 今大会は無安打に終わった。「甘い球を一発で捉えるようにならないと」と課題を持ち帰った。日本一の目標も夏に持ち越した。【川島一輝、来住哲司】