【詳報】常備の渡り板不明 準備2時間要す JR瀬戸大橋線立ち往生 管理態勢問われる
香川県の下津井瀬戸大橋上で10日、JR瀬戸大橋線快速マリンライナー(7両編成、乗客150人)が約6時間にわたって立ち往生した架線切断事故で、橋上で救援用の列車を横付けして乗客の乗り換えに使用する「渡り板」の所在が確認できず、準備に約2時間を要していたことが20日分かった。JR四国が記者会見で明らかにした。 【動画】瀬戸大橋の上で6時間立ち往生する快速マリンライナー 渡り板は1988年の瀬戸大橋開業時に配備し、2012、16年には乗客の救援訓練で使用していた。配置場所はマニュアルに明記されていたが、場所を変更した際に修正できていなかったといい、訓練の在り方や非常用資材の管理態勢が問われそうだ。 JR四国によると、渡り板(金属製)は幅60~70センチ、長さは伸縮可能で2・8~4・3メートル。児島、坂出、宇多津の各駅に常備しているが、事故後、救援用列車を出動させる児島駅で所在が分からず、坂出駅の渡り板を児島駅まで運搬した。さらに運搬する人員が手配できず、児島駅にいた社員にトラックで取りに向かわせたため、時間を要したとしている。 当時、車内に閉じ込められた形となった乗客に飲料や食物を提供できなかったことも課題とし、四之宮和幸社長は「オペレーション(手順)に問題があった。マニュアルの改善や非常用設備の適切な管理を含め、訓練の深度化や関係従業員への指導教育を進める」とのコメントを出した。
事故は日曜日の10日午前7時34分、児島―宇多津間の児島駅から南約4キロの橋上で発生した。橋上の架線が切れ、緊急停止。乗客は児島駅から到着した救援列車に乗り換えるまで約6時間を要した。 瀬戸大橋は本州と四国を結ぶ3本の橋のうち唯一の道路鉄道併用橋。橋上ではこれまで、電気系統のトラブルや強風などの影響で、長時間の立ち往生が今回を含めて11件起きている。 10日は上下100本以上が運休・部分運休し、約1万5千人に影響した。11日以降は一部車両数を減らして運行していたが、21日から通常通りとなる見込み。