プロ野球の開幕延期は当然。まずは国難に打ち克ってから野球の力を見せてほしい【張本勲の喝!!】
プロ野球はオープン戦の無観客に続き開幕の延期が決まったが、当然のことだ
プロ野球開幕の延期が決まった。日本中に新型コロナウイルスの感染が拡大している今、これは当然のことだ。決断を下すまで時間がかかり過ぎたとさえ言える。 無観客での開催を模索していたセンバツも中止になったが、これも仕方のないことだ。いくら観客を入れなかったとしても多くの関係者が接触する危険性があることに変わりはない。確かに高校生たち、特に3年生たちにとっては一生に一度かもしれない甲子園の舞台は、私としてもぜひ経験してほしいという思いはある。だが、まさに国難、日本の一大事なのだ。持って生まれた運命(さだめ)に従うほかはない。戦中、戦後も開催できなかった時期はあるではないか。選手たちの誰かから感染者が出てからでは遅いし、そうなっては誰も責任を取ることはできない。命を取り返すことはできないのだ。 日本国民は「粘土」だと言われる。一度ギュッと固まれば、簡単には離れない団結力があるということだ。野球界に限らず、全スポーツ界も全面的に協力し、国として一致団結しながら感染拡大防止に全力を注いで、ともに国難に打ち克っていかなければならない。 もちろん情勢が落ち着いてくれば、あらためてプロ野球も開幕の時を迎えるだろう。そうなれば選手たちには全力でプレーすることによりファンを喜ばせ、勇気づけ、存分に野球の力を見せつけてほしいと思う。 さて、2020年のペナントレースはどのチームにとっても難しいスタートを余儀なくされることになったが、後ろばかり向いているわけにもいくまい。まずはセ・リーグからその行方を占ってみよう。やはり今年も中心は巨人になるだろうが、せいぜい一馬身ほど抜け出しているに過ぎない。混戦となることは必至だ。 原辰徳監督の振る采配に心配はないが、ファースト、セカンド、キャッチャーのポジションに不安があるのは確かだ。セカンドは吉川尚輝が収まるのが理想的なのだろうが、これまでケガが多かったのは事実。ファーストにはキャッチャーの大城卓三が入りそうだが、いきなり阿部慎之助と同じだけの働きを求めるのは酷だ。キャッチャーも小林誠司がいまだ首脳陣の信頼をつかみ切れていないように感じる。 それでも・・・
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週刊ベースボール