「え?こんなことして大丈夫?」定番料理「肉じゃが」65年前に紹介された斬新すぎる作り方と意外なお味
調味料は砂糖、みりん、醤油、化学調味料。これはNHKが考案した一般名称で、味の素のこと。味の素は高度経済成長期、名だたる料理家が使った。その意味でも、このレシピは当時らしい。 ■副菜や酒の肴の位置付けだったような味付け? 当時の『きょうの料理』で、材料は5人前である。しかし今は番組も、一般的なレシピ本でも2人前。そこで分量は単純に5分の2に減らした。出来上がった肉じゃがはご飯が進む、あるいは酒のアテになる濃いめの味になった。もう1つ作った現代のレシピと比べてジャガイモが半量と少なく、そもそも副菜や酒の肴の位置づけだったのもしれない。
調理工程は次の通り。 ① ジャガイモ、ニンジンを1口大に、タマネギは8つ割りに切る。サヤエンドウは筋を取り、サッとゆでる。 ② 鍋に油を熱し、牛肉を炒めて色が変わってきたら、ジャガイモ、ニンジン、タマネギを加え、十分油が回るまで炒める。 ③ 砂糖、みりん、醤油、味の素を加え、ふたをする。ときどき食材を返しつつ、ジャガイモが柔らかくなるまで強火で煮る。 ④ 器に盛り、サヤエンドウを散らして温かいうちにいただく。
強火で肉じゃがを作るレシピは、時短料理家として名を馳せた小林カツ代が1994年、『料理の鉄人』(フジテレビ系)で披露し、彼女の代名詞的レシピになった。その30年も前に最初のレシピで、すでに強火設定になっていたとは驚きだ。ただ、強火にするのは「新じゃがは強火で一気に煮たほうがおいしい」からで目的が異なる。 食材の水分量が少なかったこともあり、焦げ付かないようかなり頻繁に食材を混ぜた。煮物というより炒め物。とはいえ、炒め始めて完成まで20分弱とかなり短かった。
完成した料理は、味の素で旨味が強いこともあり、濃いめだがおいしかった。私は肉じゃが他の煮物調理が苦手で、肉じゃがも、野菜が固いままになりがちだったので、ふだんは水を加えて落としぶたをし、さらに鍋のふたをかぶせる。 ところが今回は、水分も加えず落としぶたもしなかったのに失敗しなかった。成功の要因はおそらく、一口大に切った野菜の小ささ。ひんぱんにかき混ぜたこともよかったかもしれない。野菜はすべて柔らかく仕上がった。