明石商、図書館が安らぎの場所 担当教諭“親心”で見守り /兵庫
<センバツ2020> 今春のセンバツに出場する明石商野球部には、選手たちがのんびり息抜きできる広い部室がない。代わりに、皆が「家」と呼ぶ居場所がある。C棟2階にある図書館だ。選手たちから「お母さん」と慕われる図書館担当の塚本靖子教諭(57)は「センバツではけがをせずに試合を楽しんで」と温かい“親心”で見守っている。【韓光勲】 【動画】センバツ出場校、秋季大会熱闘の軌跡 選手たちは普段、グラウンド脇の階段で着替えたり、ご飯を食べたりしている。正式な部室はあるが、3学年そろうと部員100人を超す大所帯には手狭。用具もいっぱいに置かれており、中でのんびりするのは不可能だ。 このため、上級生を中心に、数年前から図書館に集まり始めた。塚本教諭は「居場所を求める部員たちが『休ませて』と来るようになった。本を汚さないという約束で『いつでも来ていいよ』と言うと、『本は読まへんよ』と返された」と笑う。 館内には、明石商を特集した新聞記事の切り抜きなどが掲示されている。試験前や検定前には勉強する選手も多く、引退後に日商簿記検定の勉強を続け、見事に合格した生徒もいたという。 昨夏の甲子園で活躍した杉戸理斗投手(3年)は「ここでよく雑誌を読んだ」。前主将の重宮涼内野手(3年)も「ここは自分の家みたいに安心できて、暇さえあれば来ていた」と話す。 もう一人、図書館担当として野球部を見守り続けている人がいる。明石商での勤務歴が30年を超える田下恵司教諭(56)だ。「試合に出ると負け」だった時代から試合をビデオで撮影し、動画や画像を編集して学校のホームページに掲載してきた。撮影した写真を「記念に」と選手に贈ることも多く、重宮前主将も「田下先生が撮影した動画や画像を編集して『3年間の思い出』という動画を作った」と感謝する。 田下教諭は「センバツではぜひ優勝してほしい」と応援。塚本教諭は「図書館はエアコンが利いているから、(下級生も)いつでも休みに来て」と優しく呼びかけている。 〔神戸版〕