落車失格で大ケガ、4~5時間にわたる壮絶な手術「肘がバラバラに、骨も出てましたね」 再起を図る39歳・競輪選手
小倉競輪場で6日から「スマリレ 日刊S杯 スカパー杯(F1)」が開幕する。12RのS級特選に出走する久木原洋(39歳・埼玉=97期)に話を聞いた。 昨年11月3日の松阪F1決勝。連勝で勝ち上がった久木原洋は落車失格で大ケガを負った。 「倒れてすぐに肋骨が折れてるのは分かった。担架に乗せられたら、右腕の感覚がなかったんです。なくなっちゃったかと思った。補助員の人に『右手ついてます?』って聞いちゃいました。そうしたら『付いてますよ』って。松阪の病院に入院して応急処置をしてもらった。鎖骨と肋骨を骨折して、肺気胸も。あと右上腕骨を開放骨折。肘がバラバラになっちゃって、骨も出てましたね。腕がブラブラしたまま川崎の病院に手術をしに行きました。なるべく人と会ったり接触したくなかったので始発の新幹線に乗って」 ここまで聞いただけでも大変なことだが、その手術も壮絶だったそうだ。 「4、5時間くらいの手術で、終わってからの痛みが…。ひと晩中ずっと痛くて、ずっと叫んでました。しばらくは腕を曲げられなくて、右手で頭を触れなかった。ボルトやスクリューが入ってます。今は115度くらいまで曲がるかな。頭も触れるようになった。お医者さんが言うには、120度曲がれば日常生活に支障がないみたい。もともと自転車の乗車フォームはきっちりとしていないんで(笑い)。なんとかなってますよ」 171日間の欠場を経て、先月の福井F1で今年のようやく初出走。ところが、復帰戦でも落とし穴が待っていた。 「選手生活15年目で初めての失格でした。クリーンな男なんですよ。20年まで失格なしで行きたかったなぁ」 泣きっ面に蜂状態の久木原だが、今回の小倉F1はS級1班が7人だけ。「競走得点0で特選スタートはツキがありますね」と笑った。流れ的にもどん底は脱しているのかもしれない。 「状態は7、8割くらいは戻っているかな。まずは西武園で一緒に練習している2人がダービーの決勝に乗ったので、そこを応援します」 いわき平ダービーは平原康多が復活のV。再起を図る久木原にこれ以上ない勇気を与えてくれただろう。0点からの再出発。いきなり本領発揮とはいかないだろうが、久木原の復活劇もゆっくりと見届けていきたい。(netkeirin特派員)