『春になったら』で再確認する父と娘のいい関係 奈緒と木梨憲武が埋めてくれる“心の隙間”
『さよならマエストロ』『ふてほど』など、父と娘の絆に焦点を当てた物語が並んだ春ドラマ
「中学とか高校のこと、お父さんの仕事嫌いとか言って本当にごめん」 そう言って頭を下げた瞳に、「ちょっと、何言ってんの! 昔の話じゃない」と笑いかけた雅彦。この会話を聞いたとき、「父と娘っぽいなぁ」と感じた。これが母と娘ならば、「ほんと、あのときお母さん傷ついたんだからね」「だから謝ってんじゃん!」なんてやり取りが生まれる可能性が高い。ただ、異性ということもあって、やっぱりどこか距離がある父と娘だからこそ生まれるさっぱりとしたやり取りに、ほっこりした。 今期は、『春になったら』以外でも、『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)や、『不適切にもほどがある!』(TBS系)、と父と娘の絆に焦点を当てた物語がずらりと並んでいる。『厨房のありす』(日本テレビ系)の主人公・ありす(門脇麦)も、男手ひとつで育てられてきた役柄だ。お父さんは仕事に邁進して、お母さんは家で子どもの面倒を見る。だから、お父さんはどうしても子どもとの距離が遠くなってしまう……なんていうのは、もう昔の話なのかもしれない。「お父さん=どこか分かり合えない存在」というイメージがあったけれど、本作を観ていると、そんなことないんだなと思うことができる。『春になったら』は、父と娘というのも、いいものだということを再確認させてくれる作品だ。
菜本かな