「叫びながら喜び」巨人新助っ人・ヘルナンデスが来日1号!挑戦した日本の珍味には「クレイジー」
◆日本生命セ・パ交流戦 巨人6―5ソフトバンク(30日・東京ドーム) チームをよみがえらせた。ヘルナンデスは一塁ベースへゆっくりと歩みを進めながら、視界から遠ざかる放物線を見つめた。左翼席中段への着弾を見届けると大歓声を一身に集め、ほえた。出場3試合目、計10打席目で飛び出した来日1号。「東京ドームで、ファンの前で打てたのが本当にうれしくて、叫びながら喜びをかみしめていた。(ほえたのは)はっきり覚えてないが英語でいうと『レッツゴー』というようなことを言っていたと思う」と興奮気味に振り返った。 【動画】ヘルナンデス、来日1号3ラン 反撃ののろしを上げる一撃だった。丸の適時打で4点差とし、なお3回1死一、二塁。フルカウントから甘く入った141キロのシンカーをコンパクトなスイングでかちあげた。チームの1イニング複数得点は19日の広島戦(マツダ)の初回に3点を取って以来、81イニングぶり。今季51試合目で初となる助っ人の一発に、阿部監督は「あれで流れがこっちに来たかなというのがあったし、チーム全体がいけるんじゃないかと思わせてくれた一発だった」。直後に岡本和の逆転2ランが飛び出した。 異国の文化にも順応しようとしている。ファームの北海道遠征中だった24日の夜。球団スタッフと函館で夕食をともにした際に「タコの卵」に挑戦した。米粒のような楕円(だえん)の形状で、白子に似た独特の食感がある珍味を口にし「クレイジー」と一言。同席した宮下トレーナーは「人間ってこんなに眉間にしわを寄せるんだって表情だった」と証言した。 日本の「マナー」にも感銘を受けている。東京Dまで電車通勤の助っ人は「乗ろうとする人が、降りる人がみんな降りるのを待って乗車する規律にびっくりしている」。外国人選手にとって、日本になじめるかどうかは異国での成功を左右する重要な要素。日本に積極的に順応しようとする好奇心旺盛な素顔が見えた。 初めて上がったお立ち台で、アーチの時と同様の大歓声を浴び「アメリカではファンの前でインタビューというのは経験がなかった。初めて経験して、特別な感情でいっぱい」。来日デビューから3試合連続安打と好スタートを切った助っ人が、打線の起爆剤になっている。(内田 拓希) ◆ヘルナンデスに聞く ―1打席目に見ていなかったシンカーを仕留めた。 「最初の打席がショートゴロで、2打席目は同じボールは投げてこないだろうと。同じようにゴロで打ち取られたくないと思った。違う球種がくるだろうと予測して待っていた」 ―日本の食事で好物は。 「全ておいしく食べています。おすしやラーメンはおいしい。違う文化ですけど、いい感じで慣れてきています」 ―覚えた日本語は。 「アリガトウゴザイマス、ガンバッテの2つ。チームメートがしゃべっているのを聞いたり、自分に言ってくれたりして覚えました」 ―初安打の記念球は母に贈ると言っていたが初本塁打のボールは。 「思い出として大事に持っておきたい。いずれ誰かにあげるかもしれないが、今は自分のために取っておきます」 ◆高橋由伸Point 内容はどうあれ、チームを勝利に導くホームランを打った。攻撃に勝るソフトバンクに打ち勝ったのだから、ヘルナンデスの存在は本当に大きくなった。実際、3回の3ランはシンカー一本に絞っていたと聞く。まだ、タイミングの取り方には疑問を感じているが、どの球種が来るか分かっていれば数字は残せる技術はある。ベンチがデータに基づいて助言したのか、自分の中で割り切っていたのか。コンタクト率は高いバッターだけに、今後の伸びしろを感じた。ゆったりとボールを待ってボールを長く見ること。これさえ修正していけば十分な戦力になる。(スポーツ報知評論家・高橋 由伸)
報知新聞社