バドミントン不祥事の余波で強化費8億円から5億円減…合宿3度中止の債務超過危機に朴HC「きつい五輪になる」
バドミントン日本代表を2004年から率いる朴柱奉(パク・ジュボン)ヘッドコーチ(HC、59)が11日、都内で取材に応じ、パリ五輪でのメダル獲得に向け、強化がままならない窮状を訴えた。日本協会は、元職員の横領など旧体制下での不祥事が続いた影響で債務超過の危機に陥っており、その余波で強化費が削減され、国内外の代表合宿が相次いで中止になっていると明らかにした。 * * * 朴HCの表情は終始曇っていた。全5種目でメダルが期待された21年東京五輪は銅1個に終わった。その雪辱を期すパリ五輪に向けた取材会の場で、自ら切り出し、代表が置かれた厳しい現状を説明。五輪代表らの世界ランキングを例に挙げ「トータルで日本のレベルが東京五輪よりダウンした。全種目でメダルのチャンスはぎりぎりあるが、厳しいは厳しい。きつい五輪になる」と示し、メダル獲得への強化活動に逆風が吹いていると明かした。 朴HCによると、昨秋に五輪本番までの強化計画を組んだが、3月の全英オープン後の日本協会との話し合いで予算不足による大幅な軌道修正を迫られた。五輪出場権に大きく影響するアジア選手権前の強化合宿や、五輪のシード権がかかる5月の海外遠征前の合宿も中止を余儀なくされた。 朴HCは今月28日からの味の素トレセンでの代表合宿も中止になったと明かし、「合宿は練習の質も違い、五輪へ選手の気持ちや集中力も高まる。現場の意見で頑張ったが、できなかったのは本当に残念。スタッフも随分とショックを受けていた」と嘆いた。 背景には元職員の横領隠蔽(いんぺい)など旧体制の日本協会での不祥事が影響している。横領額は約680万円だったが、問題は不正を把握しながらも公表せず3年間も隠したことだった。日本オリンピック委員会(JOC)のガバナンス評価で加盟55団体のうち唯一の「C」に転落。団体としての信用を失い、JOCやスポーツ庁から交付される補助金が削減されるなど、23年度決算は約3億円の赤字見込み。2期連続で債務超過の危機にある中、24年度予算で代表強化費が約8億円から5億円も削られた。 女子シングルスの山口茜(再春館製薬所)ら代表12人は当面は各所属先で調整。五輪前の最初で最後になる国内合宿を7月11日から20日まで行って、現地に入る予定だ。選手は逆境の中で、東京五輪の雪辱を目指すことになる。
報知新聞社