心晴らす秋の一服 金沢城・兼六園大茶会開幕
金沢城・兼六園大茶会(石川県茶道協会、北國新聞社など主催)は12日、金沢市中心部で3日間の日程で開幕した。県茶道協会に所属する7流派12社中が、地元の工芸作家による新作茶道具でもてなす恒例の大寄せ茶会となる。初日は兼六園周辺の4会場に茶席が設けられ、愛好者が秋晴れの城下町を巡り、心静かに一服を楽しんだ。 中村記念美術館の旧中村邸では、裏千家の井奈社中が担当した。本席には大徳寺、芳春院で住職を務めた藤井誡堂筆の「明歴々」を掛け、はっきりと明らかな様子を言う禅語に、能登半島地震で落ち込む心が明るく晴れるよう願った。 二代開発文七さんが震災からの復興を祈願して寄せた黒楽など4碗が使われたほか、前史雄さんの秋らしい鈴虫の沈金香合、魚住為楽さんの砂張(さはり)の蓋置(ふたおき)など人間国宝の作も並び、来場者は地元の優れた道具がそろう加賀茶道の豊かさを感じ取った。席主の井奈宗孝さんは「作家の道具を茶席で使うことで、作品に込められた思いを伝えたい」と話した。 しいのき緑地では、協賛する伊藤園のティーテイスターに認定された社員によるお茶セミナーが開かれた。13、14日も開催する。 大茶会は午前9時~午後3時、茶席券は3席セット3500円。1席券1500円。金沢エムザも協賛した。13日の担当社中は次の通り。 ▽時雨亭 皇風煎茶禮式石川弘風会▽玉泉庵 表千家澤永会▽松涛庵 裏千家大島社中▽旧中村邸 遠州流金沢支部