紀北町に小ロット缶詰工場オープン カツオの角煮など製造へ 三重
【北牟婁郡】食品の企画販売を手がける三重県紀北町東長島の「ディーグリーン」が今月、小ロット生産が可能な缶詰工場「Can―Dume Lab.」をオープンした。来年1月中にもカツオの角煮など3種類の新商品を製造する予定。東城代表は「毎日食べても飽きないおかずとして缶詰を届けたい」と意気込む。 同社は約10年前から地魚を使った離乳食の通販サービス「モグック」を運営。漁業が盛んな紀伊長島区「魚まち」の活性化に取り組んできた。同所はかつて2、3棟の缶詰工場があったが、人口減や需要の低迷で次々と撤退し、姿を消した。地域住民からは「地元の缶詰は作れないか」との声が寄せられたという。 東さんは5年ほど前から工場を造る構想を練っていたが、機械の調達など小ロット生産の導入に苦戦。インターネットで調べたり、展示会に足を運んだりした。転機は金型製作の浪速工作所(堺市)との出合い。小ロットに特化した缶のふたを巻き締める「バキュームシーマー」を購入し、製造方法なども学んだ。 昨年2月、商店街にあった干物屋の店主の娘から「空き家になった店を使わないか」と声がかかった。国の事業再構築補助金を利用し、1年がかりで内装を改修。8月に缶詰の開発を始めた。一つ当たり20以上を試作し、最終的にカツオの角煮のほか、マンボウの酢みそあえと熊野地鶏のアヒージョが完成した。 通販サービス「モグック」を中心に、工場や道の駅で販売する。全容量76グラムで、予定価格は税込み760円。東さんは「高くても自分で食べておいしい物にこだわった」と強調。朝ご飯のお供や酒のつまみにするのがお勧めという。「スイーツの製造許可ももらっている。変わり種も提供したい」と話した。