バイデン氏勝利、「ブルーウォール」3州が左右-日鉄の買収に影響も
(ブルームバーグ): バイデン米大統領の再選の可能性は、製造業の復活という彼のメッセージにとって究極の試金石といえる三つの産業州、いわゆる「ブルーウォール」の動向に大きく左右される。
与党民主党が伝統的に強いミシガン州とペンシルベニア州、ウィスコンシン州では、最近の世論調査結果を見る限り、共和党の大統領候補指名が確定したトランプ前大統領がバイデン氏をリードしている。それでも、同氏の陣営は楽観的な兆しを見て取る。
バイデン氏の陣営はスイングステート(激戦州)について、ある州を他の州より重視することはなく、過半数(270人)の選挙人獲得に向け複数の道筋を確保しておくため、全ての激戦州に力を注いでいると説明。スタッフを今月倍に増やすなど、人員を増強しているという。
しかし、人口動態から味方の絶好の配置に至るまで、かつてのブルーウォールの砦を特徴付けるユニークな要因により、それら3州はバイデン氏再選を可能にする最高のチャンスと捉えられる。バイデン氏はアリゾナ、ジョージア、ネバダ、ノースカロライナという他の重要な激戦4州を落としたとしても、ブルーウォールの選挙人が同氏に投票すれば勝利が得られる。
ブルーウォールの州は、2016年にトランプ氏が3州で勝利するまでは、大統領選で民主党候補が票を集める時期が長く続いた。20年にはバイデン氏が3州全てを制し、その後も14日にミシガン州サギノーを訪れたように何度も訪問しており、自らの勢力圏維持に重点的に力を注ぐ様子がうかがえる。
ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの3州には、バイデン氏がその存在を無視しないよう民主党に働き掛けてきた小都市や製造業の拠点が点在し、特にミシガン州とペンシルベニア州は組織労働者の牙城でもある。全米自動車労働組合(UAW)のピケに昨年参加したバイデン氏は、労組が中産階級を築いたというメッセージを繰り返し発信できる。
バイデン大統領は14日、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチール買収に関連し、国内で所有、運営される米企業であり続けるべきだとの声明を発表し、買収に反対する姿勢を示唆した。だがバイデン氏が公然と阻止に動くかどうかは、今回の声明だけでははっきりしない。