自動車船、過去最高値11.5万ドル。紅海迂回、なお上昇も
船主とオペレーター(運航船社)が自動車船を貸し借りする際の用船料が一段と上昇し、遠洋航路の主要船型である6500台積みの1年物の用船料は日建て11万5000ドルを付け、過去最高値を更新した。今年前半は新造船の供給が少ないため、輸送需要次第で高値圏が続く可能性もある。航行リスクが高まっている紅海を迂回(うかい)する動きが続くかどうかも注目される。 オペレーターの運航船隊は、自社船と船主からの用船で構成される。用船市況の高騰はオペレーターにとってコストアップ要因になる。 関係筋によると、6500台積みの1年物の用船料は昨春ごろ以降、過去最高値の10万―11万ドルで推移。ピークを付けたとみられたが、昨年10月ごろに一段と上昇し、その水準が続いている。 足元の市況レベルは、6500台積みの平均的な採算分岐点とされる水準の3倍超の高値にある。2022年平均の市況と比べて約6割高い。 ただ、用船期間が1年間の成約は報告されていない。船主が長期の用船契約を希望しているためだ。 船主・オペ間で交渉が行われる場合は、契約期間5年が軸になる。5年物の6500台積みの用船料は日建て6万ドル台前半が相場とされる。 自動車船の用船市況はさらに上昇する可能性もある。 英ベッセルズ・バリューのアナリストは、船舶供給の伸びが6・9%、輸送需要の伸びが7―8%を前提に、運河や危険水域の航行制限などによる稼働率低下を勘案すると、24年のピークレートは13万ドルを付ける可能性があると見通す。 自動車船市況を巡っては、リーマン・ショック前に大量発注された新造船の就航により需給バランスが崩れ、10年代は低迷が続いた。 市況回復の兆しが見られたところに、コロナ禍で荷動きが急落し船腹余剰が発生。英クラークソンズ・リサーチによると、20年平均の6500台積みの用船市況は1万2600ドルまで落ち込んだ。 その後は、荷動き回復に応じて自動車船の需給バランスも改善。21年平均は2万5600ドルまで戻り、22年は需給がタイト化し7万2200ドルを記録した。
日本海事新聞社