佳子さま 「日本画のように美しい」空色の友禅の振袖 愛子さまと見つめ合った笑顔が園遊会の緑に映えた日
天皇、皇后両陛下が主催する「秋の園遊会」が10月30日、東京・赤坂御苑で開かれた。皇室の公務を支える内親王として忙しい日々を送っている秋篠宮家の次女、佳子さまは、今回が3回目の出席。周囲を見渡す余裕と招待客への気遣いとともに、日本画のように美しい振袖姿で存在感を見せていた。 【写真】お袖の、雅子さまと愛子さまの「菊紋」、佳子さまの「菊栂」の菊花紋はこちら! * * * 天皇、皇后両陛下の長女愛子さまと、秋篠宮家の次女佳子さまは、園遊会の始まりにあたって、三笠山に隣り合って並んだ。 愛子さまは紅花で染めたような淡い桃色、そして佳子さまは緑がかった薄い空色の本振袖をお召し。おふたりの桃色と空色の対比は、赤坂御苑の緑に美しく映えていた。 公務の場でも、いつも豊かな表情を見せている佳子さま。身振り手振りのジェスチャーや相づちの動作が大きいのは、相手の緊張をほぐすためなのだろう。 今回の園遊会では、隣り合った佳子さまと愛子さまが一緒に招待客と会話する場面も多かったが、佳子さまは愛子さまと顔を見合わせて、うん、うんと大きくうなずく仕草を見せていた。仲の良いおふたりの空気感が伝わってきた。 公務の経験が豊富なだけに、佳子さまは今回も丁寧な「おもてなし」ぶりだった。最前列に並んだ招待客のみならず、その後ろに立っていた招待客にもお声がけするなど、広く気配りする余裕があった。 パリパラリンピックの車いすテニス女子、金メダリストの上地結衣さんと田中愛美さんの前では、佳子さまは膝を折って車いすの二人と目線の高さを合わせ、3人は笑顔で会話を弾ませていた。 腰をかがめた佳子さまの本振袖の袖が地面についてしまっていたが、気にするそぶりも見せなかった。
■「菊栂」紋と美しい流水文様の着物 この日の佳子さまがお召しだったのは、未婚の女性の第一礼装である本振り袖に三つ紋を入れた格式の高い装い。秋篠宮家の家紋は、十四弁の菊花と秋篠宮さまのお印である栂(つが)の枝葉を四つずつ円形に連ねた意匠。「菊栂(きくつが)」とも呼ばれる菊花紋だ。 本振袖は、緑がかった薄い水色の「藍白(あいじろ)」を主役に、黄と白の混じった「鳥の子」色が裾にひろがる優しい色味。 もともとは、姉の小室眞子さんがパラグアイ訪問でお召しになっていた着物を、佳子さまが受け継いだ。佳子さまが29歳の誕生日に公開された写真や映像でも、紅葉を背景に同じ着物をお召しになっていた。 佳子さまの振袖について、呉服業界にかかわる人物は「日本画のように繊細で美しい友禅染の振袖」と話す。そお振袖には、緻密な技巧が詰まっているという。 水を意匠化した流水文様。その水辺に咲くようにあしらわれた四季の草花。 主役となる菊や若松、笹などの意匠は、金銀や絹糸による日本刺繍や本金箔(ほんきんぱく)で華麗に装飾され、そのうしろには紫のスミレが可憐に添えられている。 光の加減によって、友禅染の草花や金箔が絹の布地から静かに浮かびあがるように感じられることもあるという。 「身体に絹地を巻きつけて着る着物は、立体的な曲線で図案の美しさを捉えるものです」 と前出の関係者。何より大切なのは、主役は図柄ではなく、お召しになる方を引き立たせることだという。 朝まで降っていた雨はやみ、好天に恵まれた今回の園遊会。 皇后雅子さまや愛子さま、そして秋篠宮家の紀子さまや佳子さまら女性皇族の色彩豊かな和装は赤坂御苑の緑に美しく映え、招待者をもてなした。 (AERA dot.編集部・永井貴子)
永井貴子