102歳のファッションアイコンが逝去 アイリス・アプフェルが愛したファッションの本質
奇抜で個性的なファッションで知られ、数々のデザイナーに愛されたアイリス・アプフェル。2024年3月1日(現地時間)に102歳でこの世を去った彼女が愛したファッションの本質に迫る。
アイリス・アプフェルは、さまざまなことから影響を受けやすい若い頃に、彼女のその後の人生を変えることになる“嫌み”を言われた。とあるデパートのオーナーから、「かわいくない」と言われたのだ。しかし、その女性はすぐにその言葉を和らげ「あなたはもっと良いものをもっている。あなただけのスタイルがある」と続けた。 ファッション・アイコンであり、インテリアデザイナーやコレクターとしても活躍した彼女は、自身の人生へのフィードバックを胸に抱えたまま、2024年3月1日(現地時間)に102歳でこの世を去った。
アイリスは、1929年の世界大恐慌の時代にアメリカ、ニューヨークのクイーンズで育ち、「アクセサリーを並べた祭壇をあがめていた」というブティックオーナーの母のもとで育ったことで、“自分を飾る”というアイデアが大好きになった。彼女はグリニッジ・ヴィレッジのジャンクショップに行っては掘り出し物を探し求め、求めているものが見つからなかったときは、DIYというワードが広まるずっと前からそれを実践していた。ある意味彼女のイメージそのものが、さまざまなものを組み合わせてクラシックなおしゃれを作るためのDIYプロジェクトだったと言える。
カール・アプフェルと結婚し、2人で「オールド・ワールド・ウィーバーズ(Old World Weavers)」というテキスタイルビジネスを始めると、アイリスの視野はさらに広がった。顧客にはハリウッドスターのグレタ・ガルボや9人ものアメリカ合衆国大統領らが名を連ね、彼らのようなトレンドセッターたちは、誰も持っていないような一点ものを求めた。やがてアイリスとカールは年2回、ヨーロッパへ調達旅行に出掛けるようになった。値切り交渉のプロとなったアイリスの鋭い目は、最も高価な品物ではなく最も個性的なものに向けられた。彼女は毎回40フィート(最大積載量は約3万kg)のコンテナを持参し、旅で手に入れた品物を持ち帰ったという。