望まぬ妊娠をした女性の行きつく先とは 映画『石門』 日本版予告編&新場面写真公開
2月28日(金) に公開される映画『石門』の日本版予告編と新たな場面写真が公開された。 【動画】『石門』予告編 本作は、“中華圏のアカデミー賞”と称される台北金馬獎で日本資本の映画として初めて「最優秀作品賞」を受賞し、「最優秀編集賞」との2冠に輝いた作品。監督を務めたのは、中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治夫妻で、これまでに女性の性に関する問題をテーマに『卵と石』『フーリッシュ・バード』を共同制作してきた(『石門』に続き2作品とも日本初公開が予定されている)。 公開された予告編は、客室乗務員を目指す主人公のリン(ヤオ・ホングイ)が、英会話教室のパーティに参加している場面から始まる。大学に通いながら英会話のスキルを高める努力を続けていたが、地方出身の彼女はパーティで自分の居場所が見つけられないでいた。「何が得意」という問いに「客室乗務員の学校に通っています」と応じる彼女の言葉とともに実習風景が流れ、続けて宝飾店の店頭でドレスを着せられたリンの姿が映される。診療所を営んでいる両親は、死産の責任を負って賠償金を迫られており、彼女はアルバイトをして仕送りをしていた。 そんなある日、リンは自分が妊娠1カ月であることを知る。恋人のチャンは、「赤ん坊がいたら君が不利になるよ」と暗に中絶を勧める。身体に変化が起こる前に故郷に戻った娘に、母は「進学したのに男を作って妊娠するなんて」と苦言を呈した。子どもを持つことも中絶することも望まなかったリンは、両親を助けるため賠償金の代わりにこの子どもを提供することを思いつく。一人っ子政策によって少子化したこの国では、遺伝子にまでこだわる闇ビジネスが横行していた。 だが、相手は子どもの面倒は見ないと突き放す。養子として引き取るのであれば、その子が健康体であることが確認できるまで受け入れないというのだ。その渦中、定期検診を終えたリンは、母親になる女性に「あなたが育てるのよ」と診断書を手渡すが、彼女は興味がないとばかりに一瞥するだけだった。 慰謝料返済のために「月に1万5千元」かかると言う母は、マルチ商法まがいのビジネスで稼ごうとしている。家族の誰もが「人に借金はしたくない」と思っているが、松葉杖の父を交えて親子3人で口論する羽目になる。そして、屋上にプールがしつらえられたビルからの眺望と卵子ドナーとなる女性たちが食事する姿が映し出される。急激に都市化が進んだ地方の街で、今、何が起こっているのか。望まぬ子を身籠もった20歳の女性の前には、全世界共通の他人ごとではない石のように重たい扉が立ちはだかるのだった。 <作品情報> 『石門』 2月28日(金) 公開