【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

黒田勇樹

「おしりたんてい」、もう名前からしておかしい。知る人ぞ知る絵本が原作の児童向けアニメーションシリーズなのですが、知らない方に言葉を選ばず簡単に説明すると「名探偵コナン」と「クレヨンしんちゃん」をごちゃ混ぜにして、一回、壁に投げつけて、跳ね返ってきたものを、そのままNHKで流しているという、狂気のアニメです。 『映画おしりたんてい さらば愛しき相棒よ』予告編 　今回の映画は短編からの2本立てで、初っ端から、怪盗、少年探偵団、パトカーとのカーチェイス、マキビシから2丁拳銃、謎のひみつ道具、夜の美術館、裏切り、出会いと別れ等と“みんなのだいすき！”を入れまくっていて「よく1時間ちょっとの作品にこの要素入れ込んで、成立させたな」という、秀逸なストーリー。 　元々テレビアニメ版でも、ゲームブックのように謎解きできる地デジのリモコンを使ったギミックなど沢山取り入れられているのですが、映画でも存分に「ちっちゃいお友達」が、飽きない工夫がふんだんに仕掛けられていました。その上で「おっきなお友達」も、存分に楽しめるストーリー。 　上記したように探偵モノだったり、児童向けだったり「やり尽くされた感」があるジャンルなのに、なんでこんなに独特で好き勝手しながら面白いのか（謎解きには、一定のルールがないと腑に落ちなくなる危険性が高い）いい大人が真剣に考えてみたところ、ちょっと失礼こかせて頂きますが、謎を解いてしまいました。 　顔がお尻だからーーー！！ 　主人公の顔がお尻なんですよ！ もう、何されても許しちゃうじゃないですか！急に劇画調になったりするし！ 　顔がお尻なんですよ…どうして…そして、それを受け入れてしまう俺と、全国民もどうして… 　主人公の探偵の顔が、おしりなんだぜ…おしりなんだよ…。 　あと、もう一つこの作品の大きな謎は、ワンコロけいさつのマルチーズしょちょうというマスコット的なキャラの声を、いぶし銀のバイプレーヤー渡辺いっけいさんが演じられていること。エンドロールを見る度に「なんでだよwww」と思っています。すごい素敵なキャラクターなんだけど、いつかお会いしたときに「大ベテランがこの仕事を続けている理由」は、是非聞いてみたいと思います。続報をお待ち下さい。 　大人も子供も楽しめる素敵な映画だったので、是非皆様、劇場へ！