草彅剛「演じることはやっぱり楽しい」 『ヴェニスの商人』でシェイクスピア劇に初挑戦
不朽の名作『ヴェニスの商人』で、草彅剛がシェイクスピア作品に初挑戦。希代の悪役・シャイロックを演じる。草彅にとってはシェイクスピアだけでなく、演出の森新太郎をはじめ、キャスト陣もほぼ初の顔合わせ。この難題を前にした心境を草彅に訊くと、いかにも彼らしい、軽やかでいて真摯な答えが返ってきた。 【全ての写真】シェイクスピア劇に初挑戦する草彅剛
水と油くらい対極にいるほうが、面白い化学反応が起こる
――初のシェイクスピア劇への挑戦となります。これまでシェイクスピア作品に対してどんなイメージをお持ちでしたか? なにもないですね(笑)。そもそも演劇とはなんぞやとか、シェイクスピアとはなんぞやとか、マニアックなことはまったくわからなくて。僕が興味あるのは、古着とギターとブーツだけ(笑)。でも水と油というか、それぐらい対極にいるもののほうが、面白い化学反応が起きると思うんです。僕自身わからないがゆえに、その世界に入った途端、どんどんのめり込んでいくような気もしていて。そういうところにこそ見たこともないような宝物が隠されていると思いますし、この座組みでやるからこそのシェイクスピアになったらいいなと思います。 ――シェイクスピアと聞くと、俳優さんとしてはどこか気負ってしまいそうですが……。 いや全然(笑)。小さい時から板の上に立ってきたので、やっぱり本番が始まってみないと、その舞台がどういうものかなんてわからないとよく理解しているんです。でもだからこそ楽しみでもありますよね。どうなるかわからないその未知なるところが、いい意味で不安定というか、あやふやにしているところが面白いと思うので。何より僕の中にあるのは、観に来てくれた人に楽しんでもらいたいという気持ちだけ。だからそこに全集中していれば、どんな脚本であろうが構わないと思っているんです。 ――草彅さんが舞台で演じるやりがいも、そういったところにあるのでしょうか? そうですね。お客さんに喜んでもらえることがやっぱり一番。期待してもらっているのも感じますし、そもそもチケットを買ってもらっちゃっているわけですから。まだ完成してもいないのに(笑)。それは怖くもあり、そのドキドキ感がやっぱり楽しくもあるんですよね。