「秘密基地」に夢中になった時代、小学生にとって魅力だった"マル秘空間"の記憶
令和の時代で見つけた基地
歳月が流れて驚くのは、そんな「秘密基地」が販売されていることである。インターネットで検索すると、子どもひとりが入る大きさのテントが、いろいろな種類で登場してくる。そんな中、「大人の秘密基地」と名づけられた大きなテントもある。さらに、趣味の品を持ち込むことができるガレージまでも貸し出されている。ここまでくると本格的だ。「秘密基地」をテーマにしたボードゲームまで見つけた。秘密基地の作り方マニュアル本も出版されている。令和の時代になっても「秘密基地」は健在なのである。
「秘密基地」の魅力とは?
なぜ人は「秘密基地」なるものに魅かれるのだろうか。雪国で見かける「かまくら」をかつて羨ましく思ったことにも通じそうだ。自分だけの空間、人には知られたくない秘め事、"秘密"という言葉の響き。それらは子ども時代だけではなく、成長した後も、ヒトという生き物にずっと付いてくるものなのかもしれない。だからこそ、時代が移り変わっても「秘密基地」は、多くの人をどこか魅了し続けるのだろう。 筆者の1歳になる孫が、最近は棚と壁の間にできたわずかなスペースに、好んで入り込んでいるようだ。まもなくおもちゃを持ち込むかもしれない。「秘密基地」事始め、早くも訪れたようだ。彼はこれからどんな「秘密基地」を生み出していくのだろうか。 【東西南北論説風(538) by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】 ※『北辻利寿のニッポン記憶遺産』 昭和、平成、令和と時代が移りゆく中で、姿を消したもの、数が少なくなったもの、形を変えたもの、でも、心に留めておきたいものを、独自の視点で「ニッポン記憶遺産」として紹介するコラムです。
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