またトランプリスク…大統領選挙討論後に米国債利回り急騰
トランプ前米大統領再選の可能性が浮上すると世界の金融市場が揺れ動いた。大統領選挙テレビ討論と最高裁判決でトランプ前大統領が大統領選挙で有利な位置に上がった後、金融市場が「トランプリスク」にすぐ反応してだ。米国の市場金利が急騰し、米国の金利引き上げの見通しにKOSPIとKOSDAQは急落した。 ブルームバーグによると、米国債10年物利回りは1日、前営業日より約0.07%上がった4.46%で取引を終えた。先月27日終値が4.29%だった点を考慮すると2営業日で0.17%急騰した。これは約1カ月ぶりの高水準だ。 最近米国の市場金利は安定化傾向にあった。高い物価上昇率を牽引してきた雇用と消費が鈍化する兆しを見せた上に、米連邦準備制度理事会(FRB)が参考にする物価指標である先月の個人消費支出が前年同月比2.6%の上昇にとどまり市場の予想値に合致したためだ。 それでも市場金利が突然上がったのはトランプ氏再選の可能性が早くからふくらんだ影響と分析される。トランプ氏は先月27日のテレビ討論で圧勝したという評価を受けバイデン米大統領の候補交代論を引き出した。ここに1日に最高裁がトランプ氏の2020年の大統領選挙敗北を覆そうとした容疑に対する免責判断を下し再選への障害物が消えた。 市場金利が「発作」を起こしたのはトランプ氏の経済政策が物価上昇率をさらに拡大しかねないためだ。最も懸念される点は財政赤字の拡大だ。共和党が下院を掌握している状況でトランプ氏がバイデン氏よりばらまき財政支援政策を展開するのは容易だ。トランプ氏は大規模減税公約まで掲げており、財政赤字がさらに増える可能性が大きい。大規模財政支援は物価上昇を刺激し、財政赤字拡大は国債発行量を増やして金利急騰を呼ぶ。このためトランプ氏が当選すればFRBが予想したよりも通貨政策転換の時期がさらに遅れるかもしれないとの見通しが出ている。 大規模関税賦課を通じたトランプ式貿易戦争も金利上昇を刺激する可能性が大きい。関税が高まれば輸入品価格が上がり物価上昇率も高まるため金利を容易に低くすることはできない環境になる。 トランプリスクが現実化すれば韓国経済に少なくない負担として作用する見通しだ。米国が高金利政策を持続すれば韓国も基準金利を容易に下げられず、金利負担により内需回復などが遅れる恐れがある。ドル高が持続すれば外国為替流出と輸入物価負担も続くことになる。 実際に米国債10年物利回りが急騰すると、この日の韓国総合株価指数(KOSPI)は0.84%、KOSDAQ指数は2.04%の大幅下落となった。ソウル外国為替市場でウォン相場も前営業日より8.90ウォンのウォン安ドル高となる1ドル=1388.20ウォンで取引を終え1390ウォン台を脅かした。 梨花(イファ)女子大学経済学科の石秉勲(ソク・ビョンフン)教授は「選挙戦が激しくなるほど財政支援や貿易障壁強化のような政策がトランプ氏だけでなく民主党陣営からも競争的に出てくるかもしれない。米国のこうした政治環境が韓国経済に与える否定的影響に備えなければならない」と話した。