米CFTC、大手DEX「ユニスワップ」と和解。デリバティブ取引関連の告発で
17万5000ドルの民事罰金で和解
米商品先物取引委員会(CFTC)が、分散型取引所(DEX)「ユニスワップ(Uniswap)」を開発するユニスワップ・ラボを商品取引所法(CEA)に基づいて告発し、和解したと9月4日発表した。 CFTCは発表にて「CFTCは、ユニスワップ・ラボが取引するためのプロトコルへのアクセスを容易にするため、Webインターフェースを開発・運営していたことを指摘した。そこで米国及び海外の投資家に対し、限られた数のレバレッジトークンを取引できるようにしていた」と主張。これによりユーザーはイーサリアムやビットコインなどのデジタル資産に対しレバレッジをかけたエクスポージャーを得ることができたとCFTCは述べている。 またこのレバレッジトークンは、28日以内に実際の受け渡しが行われないレバレッジまたは証拠金付きの商品取引であるため、ユニスワップは事前に契約市場として登録する必要があった、とCFTCは指摘した。 CFTCのイアン・マッギンレー(Ian McGinley)執行局長は声明にて、「DeFi事業者は、取引が法律を遵守するよう警戒しなければならない」と述べている。 なおユニスワップ・ラボが執行部門の調査に多大な協力を行ったことをCFTCは評価し、民事罰金を減額。17万5000ドル(約2,514万円)の民事罰金で和解している。 またユニスワップ・ラボの最高法務責任者であるキャサリン・ミナリ(Katherine Minari)氏によれば、同社は違反を認めることも反対することもせず和解に応じたとのこと。「私たちはこの問題を解決し、すべての人のためにDeFiの未来を築くことに集中できることを嬉しく思う」とコメントしている。 なお今回の告発については、CFTC内から反対の声も上がっている。 CFTCのサマー・メルシンガー(Summer Mersinger)委員は9月4日、反対声明をCFTCのHPにて発表した。 メルシンガー委員は、「CEAやCFTCのルールは、従来の中央集権的な市場インフラの提供者や仲介者のために作られたものであることを考えると、CFTCが近い将来、規則制定の検討やガイダンスを提示しDeFiプロトコルがそれらに準拠する方法の明示を行うことを期待していたが、今回はそういったアプローチは取られなかった」と指摘。 規制の明確性を提供する代わりにDeFiプロトコルに対して執行権限を行使することは、責任あるDeFi開発者を海外に追いやり、ビジネス、雇用、経済活動を米国から遠ざけてしまう危険性があるとの懸念を同委員は示した。 なおユニスワップは4月、米証券取引委員会(SEC)から「ウェルズ通知(Wells Notice)」を受け取っている。 ウェルズ通知は、SECが企業・個人に対して、法的措置を講じる予定であることを通達する公式文書だ。 SECは、ユニスワップ・プロトコルがユニスワップ・ラボが管理する未登録の証券取引所であり、ユニスワップ・インターフェースは未登録の証券ブローカー・ディーラーであり、UNIトークンは投資契約だと主張している。 これに対しユニスワップは反論し、裁判に臨む姿勢を示している。 なお9月5日の米コインデスク(CoinDesk)の報道によると、ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ(Letitia James)司法長官もこの規制攻勢に参加したようだ。 関係者の話によれば、アンドリーセン・ホロウィッツ(Andreessen Horowitz:a16z)やユニオンスクエアベンチャーズ(Union Square Ventures)など、ユニスワップに出資しているVC宛てにジェームス司法長官のオフィスから召喚状が8月送られたとのことだ。
髙橋知里(幻冬舎 あたらしい経済)