「真・三國無双 ORIGINS」インプレッション。新たな無双では仲間と足並みを揃える段取りが重要。アクションも戦術も奥深い仕上がりに大きく進化!
コーエーテクモゲームスは、PS5/Xbox Series X|S/PC用タクティカルアクションゲーム「真・三國無双 ORIGINS」を2025年1月17日に発売予定だ。本作は今年9月26日~29日に開催された「東京ゲームショウ2024」のコーエーテクモブースにも出展され、来場者はひと足先にゲームを試遊することができた。 【画像】バトルの操作感自体は従来のシリーズから大きく変わっていない 「真・三國無双」シリーズの最新作である今作は、“原点回帰”を謳って「ORIGINS(原点)」と名付けられている。過去に発売されたナンバリング作品の世界観や爽快感を踏襲しつつも、より戦術性と物語のドラマ性を強めたリブート作にも等しいかもしれない。 今回は、コーエーテクモゲームスから開発中の製品版に相当する、プレビュービルド版を試遊させていただく機会に恵まれたので、インプレッション的にゲームの魅力を紐解いていきたい。なお、プレビュービルド版は1章から3章までを体験することが可能だが、発売前という事情もあり、当然物語や時代の変遷について、ネタバレに類する要素は取り扱わないものとしている。 ■ 謎に包まれた名もなき英雄の視点から三国志の時代に迫る 従来のシリーズでは、ナンバリングを重ねるごとにプレイアブルキャラクターの数が増えていった。2021年12月23日に発売した「真・三國無双8 Empires」では、94名もの無双武将が登場するまでになっていた。シリーズを通してこうした武将キャラクターたちを操作し、各勢力の物語と歴史を体験できるのが魅力の一つというべきだったろう。 しかし、今作「真・三國無双 ORIGINS」は、従来の伝統様式から異なるアプローチでゲームを体験していく。ゲームを始めてから勢力や武将を選択する過去作にあった流れはない。プレイヤーは、過去の記憶を失った一人の青年の視点から、英傑たちの思惑が交錯する三国時代を経験することになるのだ。 多彩な武将で戦場を駆け、群像劇的に物語を描いてきた、ある種テンプレートのようなものから大きく脱却を図ってきている。原点回帰とは言いつつもその様相は、“シリーズの再構築”という表現が感覚的にハマる気がしている。とはいえ、実際にゲームをプレイしていると、従来のように「真・三國無双」らしいポイントを端々で感じ取ることができた。ナンバリングこそついていないが、今作が紛うことなき「真・三國無双」であることは実際のゲームプレイを通して得られたところが大きい。 まず、今作ではほとんど一貫して、主人公視点からメインストーリーが進行する流れを取っている。展開に合わせて「大陸地図」と呼ばれたワールドマップ上に目的地が更新されていき、プレイヤーはそこを目指しながら、自分の足で三国時代の大陸を移動していくという構造だ。大陸内を移動している過程では、各勢力の武将とのイベントがあったり、突発的な戦闘イベントが発生したりもする。プレイヤーは任意でそれらにインタラクトできるので、自分の裁量でゲームを進めていくことになる。 従来のシリーズでは「ストーリーモード」「フリーモード」「チャレンジモード」といったように、コンテンツそのものが目的ごとに区分けされ、メニュー画面から遊ぶ形式だった。たとえば特定の武将を育成したり、今より強力な武器が欲しければ、フリーモードなどから既にクリアした戦いをもう一度遊んだりするのが基本となる。コンテンツドリブンとも表現できそうな形式だったが、今作ではワールドマップを採用したことにより、そうしたコンテンツの明確な区分けは無くなっている。 主人公を育成したければ、ワールドマップを彷徨って偶発的に発生した「突発戦」に挑戦すればいい。バトルの条件は毎度バラバラだが、過去作のようにクリア済みの戦いをプレイし直す必要がなく、1戦あたりの所要時間もかなりコンパクト。武器もバトルでの入手に加えて、ワールドマップにある街へ足を運べば購入可能となっている。育成やバトル、武将との交流といった流れがワールドマップを中心に視認しやすく一元化され、ゲーム全体の進行そのものはスムーズになった印象を受けた。 前述した通り、ワールドマップにさまざまなイベントを配置したゲームデザインになっているため、プレイヤー側が自然と寄り道をしたくなることも多々ある。ストーリーを進めるために目的地へ移動していたはずなのに、通りがかった道の先で武将との会話イベントを見つけたり、手に入れたばかりの武器を試すために突発戦を行なったり。ゲーム中は武器を使い込むと習熟度が上がって、新たなコンボや「武芸」を習得するが、新しい技を覚えたらすぐに試したくなるのがアクションゲーム。すると、やはりここでもつい寄り道をしてしまう。 このようにゲームプレイのプロセスにある程度の自由度が備わっているのは、どこか「RPG」的でもあるだろう。主人公の視点から曹操、孫堅、劉備らの思想に触れ、誰に共感してどの勢力に所属していくのか、ゆくゆくはプレイヤー自身が選択しなければならない時もやってくる。また、今作では「黄巾の乱」から「赤壁の戦い」までを描いている。以前実施した開発者インタビューによれば、過去作とは異なり、「黄巾の乱」を章単位で描くことがプロデューサー・庄知彦氏の口から明かされていた。実際、プレビュービルド版を通してそれだけ濃密な歴史ドラマとしての側面を強く感じられたし、ボリュームの手応えも確かなものがあった。章ごとにしっかり武将たちの思想が描写されているので、勢力の選択にはかなり迷ってしまいそうだ。 ■ 「武芸」を駆使して勝機を掴む。敵武将との戦いはよりアクションゲームらしい攻防戦が展開する! ここからはバトルシステムについて見ていこう。基本的な操作性は過去作の系譜を辿っていると言ってもいい。「通常攻撃」と「強攻撃」の組み合わせで繰り出される多彩な攻撃アクションはそのまま。システムの大枠と呼べるものこそ従来通りだが、その細部は大きな変化を遂げているのが今作だ。その一つが新たに登場した「武芸」という攻撃スキルのような要素。 武芸は戦闘中に溜まる「闘気」を消費することで発動できるアクションだ。戦闘開始前に最大4つ設定することができ、コンボの締めや敵武将に対する攻めの取っ掛かりなど使い勝手は幅広い。しかし、当然それだけではない。武芸には【発勁】と呼ばれるカテゴリのものがあり、こちらは特にバトルにおいて大きな役割を担っている。敵武将には体力とは別に、靭性を表す「外功」という概念がある。バトルではこれを如何に削り切って攻撃チャンスを生み出せるかが武将戦の重要なポイントだ。 先に挙げた【発勁】にカテゴライズされた武芸とは、敵武将が時折繰り出す、ガード不能な攻撃に対しての有効なカウンターにあたるもので、これを成功させれば外功を大きく削り取ることができる。このように武将との戦闘は、過去作以上にアクションゲームらしい攻防戦が展開されていく。ほかにも敵の攻撃タイミングに合わせて回避、ガードをするといったタイミングアクションも存在している。「汎用武将だから雑兵と一緒に片付けてしまおう」などと考えていると、意外にタフな敵武将に舌を巻くはず。 主人公は「剣」以外にも「槍」「手甲」「棍」など、多彩な武器を扱える。各武器に習熟度があるので、それぞれ使い込む楽しみもあった。もちろん、プレイヤーによっては武器種の体感的な使いやすさなどが出てくると思うが、どの武器でも敵を蹴散らす爽快感は損なわれていない。習熟度が低い武器種であっても武芸さえ織り交ぜれば、結構戦えてしまうのもシステム的な強みだろう。 今回のプレイで全ての武器種を使用できたわけではないが、比較的攻撃リーチが長い、槍、偃月刀、棍といった武器種は初見でも手に馴染みやすいものがある。槍といえばシリーズでは顔役のような武将・趙雲のイメージが強いのだが、もしかしたら歴代シリーズでもアイコニックな存在の武将から着想した攻撃アクションが各武器種に設定されているのではないかと思う。これはプレイヤーとしての単なる推測の域でしかないが、槍なら趙雲、偃月刀は関羽、朴刀は夏侯惇といったように。 呉のヒロイン・孫尚香が扱うチャクラムのような武器「飛圏」も主人公の武器として使用可能だ。個人的に気になった武器としては、格闘武器にあたる手甲。強攻撃で一度構えの姿勢に入り、そこから攻撃が派生していくという独特の使用感が中々に面白い。仕組みに慣れるまで多少の慣れは必要だろうが、攻撃モーションの超人的なケレン味っぽさが、軍師が放つ衝撃波のように“「真・三國無双」らしさ”を感じられるところである。 ちなみにゲーム中は、主人公以外に武将が全く使えないといったこともない。出撃前に「随行武将」を選択しておくと、その戦場では主人公に同行する形で武将が連携してくれる。バトル中にゲージが溜まることで、一時的にその武将に操作を切り替え、随行武将の力をプレイやーが直接発揮できるようになっている。 とはいえ、主人公キャラクターでゲームの世界観を体験していくという今作の趣旨はブレていない。あくまでこの要素も一時的なものではあるので、バトル中に「ここぞ!」と思えるタイミングで扱うのがベターなのだろう。ゲーム内で随行武将がどれだけ登場するかも気になる部分だ。 ■ 大軍同士のぶつかり合いが激アツ。単騎無双は覚悟こそ必要だがやれなくもない……!? 今作では物語が進むと自分の部隊「護衛兵」を持てるようになる。この護衛兵たちを使った「戦法」も、バトルの中核を担う主要素だ。戦法は部隊を任意の方向へ突撃させたり、矢を射させたりすることができ、敵の大部隊を前にしたときや、強敵武将との戦闘において特にその威力を発揮することだろう。先手を打つ形で部隊を突撃させ、崩れた陣形の中へ切り込んで行ったり、後方であぐらをかいている敵武将に矢を放つ嫌がらせをしてみたりと、部隊戦ならではの戦術的な自由度が高い。 また、護衛兵は敵の兵器を破壊することもできる。味方が兵器の攻撃で苦しんでいる最中、戦法とプレイヤースキルを駆使して兵器までの進路を確保していき、厄介な兵器を破壊するといったプレイが、シチュエーションとしても非常に映える。大部隊との戦いでは、敵の最前列に大楯を構えた兵士たちがズラリと横に並び、布陣というものが如何に強力な戦術なのかを身を持って体感できるが、護衛兵と連携すれば少数部隊でこうした敵の布陣を崩すことは十分可能だ。戦場の状況を広い視点で見渡せる「霊鳥の眼」も、敵布陣の守りが薄い箇所を看破するきっかけになりやすい。常に変化していく戦況の中「次はどのように攻めるか?」と、リアルタイムの戦術性も強まった。 「真・三國無双 ORIGINS」は現行ハードならではの表現力を活かし、広大な戦場に数えきれないほどの兵士たちが並ぶ。過去作のバランス感であれば、なんだかんだ単騎で強引に突破できたところもあったが、今作ではそう上手くはいかない。先にも触れたが、布陣を構えた敵の防御力は非常に高く、さらに兵器などの攻撃も厄介極まりない。おまけに敵武将も戦法を繰り出してくるので、単騎の突破はそれなりに難易度が高い。基本的には戦場の流れに乗りつつ、味方武将と足並みを揃えることが攻略のキモとなっている。開戦後は戦場で発生するさまざまな味方武将の計略をサポートしたり、逆に敵武将の計略を妨害したりして、戦局を有利な方向に導いていくのだ。 特定の戦いにおけるクライマックスでは、作戦を執り仕切る味方武将が味方の大軍団の突撃準備を整える。突撃準備は、敵本陣などに攻め込む際に発生するイベントのようなもので、準備が整った武将に近づくと発動する。武将が引き連れている兵士たちを鼓舞し、大軍として一気に敵陣へ流れ込んでいくロマン溢れる要素となっている。大軍同士がぶつかり合う様子も壮観だが、プレイヤー自身も次々と突撃していく兵士たちに混ざり、彼らと同じ空気感を味わえるのがこれまでにはなかった体験である。 前項で、単騎の強引な突破については難しい旨を紹介したが、実は今回のプレイ中にそれを試みたことがあった。味方武将と足並みを揃えることなく、主人公と護衛兵たちで敵の本陣に流れ込んでみたのだ。結果としては、敵軍の防衛網を突破するまでの時間と、相応の体力消耗こそあれど、できないことはなかった。 だが、成功するまでに主人公が倒されてしまい、複数回のゲームオーバーを経験してのこと。今作ではゲームオーバーになっても、その戦いの重要な局面から再びリトライできる親切設計なので、めげずに再挑戦できたのが大きい。しかも、こうした無茶なプレイをすると、味方武将から特殊なセリフが聞けるので、試してみる価値は大いにありそうだ。ちなみに今回のプレイ範囲の中では、猛将と名高いかの呂布と相見える場面もあった。彼に立ち向かったところで、当然のことながらその圧倒的な武力を前に幾度もゲームオーバーを経験している……。結局勝つことはできなかったが、この雪辱はぜひ製品版で果たしたい所存だ。 なお、11月22日からは、今作の体験版が配信開始となった。体験版は本稿で紹介している内容とは異なるものだが、原点回帰を果たしてタクティカルアクションの名に相応しい進化を遂げた新しい「真・三國無双」の魅力は、実際に手に取って体感していただけることだろう。さらにダウンロード版のプレオーダーも開始されている。シリーズから長らく離れていたプレイヤーも、まだシリーズに触れたことがないプレイヤーも、ぜひ「真・三國無双 ORIGINS」の世界をその手で体験して貰えればと思う。 (C)コーエーテクモゲームス All rights reserved. ※画面は開発中のものです。
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