開湯１００周年記念で完成した「百年時計」＝富山地鉄宇奈月温泉駅前

　黒部市宇奈月温泉の開湯100周年記念で製作していた「百年時計」完成式は29日、富山地方鉄道宇奈月温泉駅前広場で行われ、関係者が温泉街の新たなシンボル誕生を祝い、次の100年へ時を刻み続けるよう思いを込めた。 　宇奈月温泉は高岡生まれ、金沢育ちの世界的化学者・高峰譲吉博士の黒部川での電源開発構想が基になって1923（大正12）年、誕生した。多彩な100周年事業が昨年度に展開され、百年時計設置は記念事業の締めくくりとなる。 　　●V字峡をイメージ 　支柱は黒部峡谷のV字峡をイメージ、上部にはトロッコ電車を配し、温泉街各所の街路灯と統一感を持たせた。時計の針がピッケル、文字盤が「う・な・づ・き」になっている。夜は盤面に月が浮かび上がる。下部は風呂おけに見立てたベンチで、記念撮影を楽しめる。 　式では河田稔実行委員長が「次の世代に残す遺産にしようと宇奈月、黒部らしさにこだわった。次の100年へ着実に歩んでいきたい」とあいさつした。 　武隈義一市長は「黒部宇奈月キャニオンルート開放は延期となったが、この間に魅力の磨き上げに力を入れる」と述べ、市として地域全体が恩恵を受ける観光施策を推進する姿勢を強調した。 　宇奈月ももの会メンバーが伝統の「宇奈月温泉小唄」を踊った。製作費約1900万円のうち約1300万円はクラウドファンディング、協賛金で賄った。