沈む日本、いま必要なのは「団塊ジュニアの反抗」だ! 「物価高で定額減税」の論理的矛盾を無視していいのか
団塊ジュニアという名前からわかるように、私たちは団塊の世代に次ぐ「ボリュームゾーン」として生きてきた。 ただ、団塊世代が高度経済成長の恩恵を受けてきたのとは正反対で、時代の節目、節目で痛い目にあってきた。多くのカップルが結婚や子どもの出産をあきらめるしかなく、それが現在の少子高齢化問題の理由の1つともなっている。 私たち世代の記憶のほとんどは、「長期停滞」によって彩られている。ズルズルと暮らしのレベルが落ち続け、気づくと日本中に外国人があふれ、私たちにとって海外旅行は高嶺の花になりかけている。
ゆっくりと弱りゆく経済。 だが、友人に聞かされた話は、それとはまったく違う印象を私に与えた。 ■歴史的な転換点となった1998年 「CDの売り上げのピークって1997、1998年なんですよね。それ以降、シングルのミリオンヒットが、突然、激減して、ほとんど出なくなってしまったんですよ」 おどろいた私は、書籍の販売金額をあわてて調べてみた。すると、こちらも、1997年に初の前年割れを記録し、それ以降、減少傾向が続いていた。どうも1990年代の後半に何かが起きたようだ、と直感した私は、さまざまなデータを調べてみた。
いちばん衝撃的だった数字から紹介しよう。それは、1998年に企業部門が資金余剰(=黒字)部門に転じていたことだ。企業は、明治期にデータを取り始めるようになってから一貫して資金不足(=赤字)部門だった。 私たちは将来不安に備えようと銀行にお金を貯める。資金が不足している企業は、私たちが銀行に預けたお金を借り、これを積極的に投資に振り向けて経済を成長させてきた。これが近代日本における大前提だった。 ところが、1998年に企業は、資金余剰部門になった。借金をしてでも投資を行うのが常だった企業が、手元資金の範囲内でしか投資をしなくなった。戦前から続いたお金の流れが完全に変わってしまったのだ。