「モーションコミック」の時代到来か ── 小池一夫氏「音と動きが漫画に入ってきた」
「漫画の革命というか、漫画の世界が変わってきている」──。大阪エンタテインメントデザイン専門学校(大阪市住之江区南港北)はこのほど、キャラクターの世界をリアルに体感・体験してもらう学びの体験拠点「大阪総合漫画芸術ミュージアム」を付設オープン。常設展示、企画展で構成されている、いわば「キャラクターの世界を学ぶ殿堂」だ。館長には『子連れ狼』などの漫画原作者、作家の小池一夫氏が就任。開館記念シンポジウムでは、小池館長が新たな漫画のスタイル「モーションコミック」の新しい潮流について語った。
漫画はどんどん進化「モーションコミック」
今、紙の漫画は「見開き」だが、それ以外にタブレットに合わせた漫画やスマートフォンに適した縦や横スクロール漫画、そして音や動きをつけた「モーションコミック」など、漫画はどんどん進化している。 そんな中、このほど開催された開館記念シンポジウムでは、小池館長のトークショーがあり、「モーションコミックの新しい潮流について」の話があった。 「モーションコミック」とは何か、これは漫画に色をつけ、声優が音声を入れ、動きや音楽で演出した動画コンテンツのこと。漫画の革命と言っても過言ではなく、まったく新しいコミックだ。
アニメ・映画でもない、第3のメディア
「漫画の革命というか、漫画の世界が変わってきている。それを今日はお見せしようと思っている。今の漫画の描き方ではだめだと思っている。僕らは手塚治虫さま、あえて“さま”と呼ばせて頂くが、そういう世代で育った。これまで漫画は音と動きがないものだった。しかし、音と動きが漫画の中に入ってきた」。まず、こんな話から始まった。 「今はネットの時代になってきたし、どういう発信をするのが有効なのか、新たなネットという媒体を中心に動いている」 「モーションコミックはまだ一般的にみなさんは知らない。目が動く、髪の毛が動く、声が出る。でも、コミックであり、アニメではない。アニメは全体が動くが、モーションコミックは固定された漫画が動き、タブレットなどで見るもの。アニメではない、映画でもない、第3のメディアと言えるものです」 実際の映像(動く漫画)で解説しながらの話は一層リアルで、縦、横スクロールに合わせたコマ割りが必要となってくるのがわかる。確かに紙の漫画から画期的に進化したもので、すでに専門のサイトもある。かつての名作がモーションコミック化されると、新しいメディアとしてそれを見ることができるだろう。果たしてモーションコミックは業界を席巻するのか…。 同ミュージアムでは、企画展「小池一夫の世界」、「杉井ギザブローの世界」、「海洋堂の世界」、「日本コンピュータゲーム史」、さらに特別展「天野喜孝」を開催中。見学無料。詳しくは「大阪総合漫画芸術ミュージアム事務局」公式サイトで。 (文責/フリーライター・北代靖典)