《ススキノ首切り事件》「娘の心が『ゾンビ妄想』で壊れることが恐ろしかった」…精神科医の父が警察に通報しなかった「衝撃の理由」
「ゾンビ妄想」と娘の心が壊れることを心配する父
「『ゾンビ妄想』とは、浩子被告の初公判で弁護側が説明したものです。瑠奈被告自身はすでに死んでおり、その身体(死体)の中には5~6人の魂が入り込んでいる、と主張したものにあたります」(前出の全国紙社会部記者) 修被告によると、瑠奈被告のゾンビ妄想が始まる18歳以前、彼女に対して「言うべきことははっきり言ってきたつもり」だという。 もっとも、強く言えなくなってしまったのは、ゾンビ妄想だけが原因ではない、とも主張した。 「妄想だけではなく、そのころから自傷やOD(オーバードーズ、薬物の過剰摂取)などを繰りかえすようになった。『これ以上生きていたくない。早くお迎えが来てほしい』と訴えるようになった。本人の精神状態が追い詰められると取り返しがつかない。追い詰めないかかわり方をするのが望ましいと感じていた」(修被告) 公判の中で、修被告は「瑠奈被告の心が壊れるのが怖い」といった旨の供述を何度も繰り返していた。 例えば、瑠奈被告から暴力を振るわれたり、骨折やあざを作った経験を弁護士から問われると「ありません」(修被告)と答え、さらに「暴力で怖い思いをしたことは？」と続くと次のように述べた。 「ないです。興奮する娘を精神が追い詰められていることに対して怖いと思った。心配だった」(修被告) 娘の精神状態を案じる言動は、他にも見られた。
なぜ通報しなかったのか？
「逮捕まで2週間近く時間があったが、通報しなかったのはなぜか？」(弁護士) 「現場まで自家用車で行っていますし、すぐにでも娘は逮捕されると思っていた。私の手で突き出すことをすれば娘を裏切る、突き放すことになる。娘が抱えていた重荷から裏切る行為になると思い、できなかった」(修被告) 「(瑠奈被告が)怖くて通報できなかったのか」(弁護士) 「怖いというか、今思うと警察に突き出していたら、今でも娘の精神状態は悪いのに今よりもっと壊れてしまう。娘を追い詰めたくない。娘がどうにかなるのが怖い。恐ろしくて通報できなかった」(修被告) 公判で明らかになってきた「瑠奈ファースト」の親子関係の実態。しかしこの、どの家庭にもありそうな子供への気遣いがなぜ「首切断」という衝撃的な事件につながってしまったのか。 後編記事『「瑠奈被告が拾った“首”というものが浴室にある」…“小ぶりのスイカのような形状”を見ても「変わらぬ日常」を過ごした父親が「言葉を失った」ワケ』につづく。
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