新聞届き、曽祖母元気に 配達エッセー最優秀賞の小坂小・杉本さん 地震に負けず、配達員に感謝
小坂小3年の杉本彩樹(さき)さん(9)=金沢市神宮寺2丁目=は、今年の日本新聞協会の「新聞配達に関するエッセーコンテスト」で小・中・高校生部門の最優秀賞に選ばれた。作品「新聞が読みたい」は、能登半島地震で被災した能登町の95歳の曽祖母が、慣れない避難生活の中で北國新聞を読みたがっていたことを取り上げた内容で、道路の状況が悪くても新聞を届けてくれる配達員への感謝をつづった。受賞の報を受けた杉本さんは「新聞を読んでひいおばあちゃんも元気を取り戻した」と喜んでいる。 【写真】曽祖母の深見テル子さん(家族提供) 8月に96歳となった曽祖母の深見テル子さん=能登町石井=は地震で家の壁や床が壊れ、しばらく金沢の杉本さん宅に避難していた。彩樹さんの父、樹哉さんらによると、知り合いもいない生活は気分が沈みがちで、ぼんやり過ごすことも多かった。彩樹さんは「何かしたいことはない?」と尋ねたところ、テル子さんが「新聞が読みたい」と返事をしたことが印象に残った。 テル子さんは毎朝の北國新聞が何よりの楽しみ。隅から隅まで読み込むのが日課で、仕入れた地元の話題をとても楽しそうに話す。そんな「ひいおばあちゃんの日常」が地震で壊れたことに、彩樹さんは悲しい思いがしたという。 けれども、能登町に残った家族から2週間ほどで新聞配達が再開されたと聞き、「配達の人も被災して大変なのに、すごいと思った」。今は祖父と共にテル子さんも地元に戻り、修理が進む新たな家で毎日、新聞に目を通している。 通院で金沢に来たときや電話で話すときも「ひいおばあちゃんの声で元気になったことがすぐ分かる。最優秀賞の知らせにも大きな声で喜んでくれた」と彩樹さん。能登の家は9月の豪雨で浸水の被害も受けた。自分の記事が載った新聞で「もっと元気になってくれたらうれしい」とはにかんだ。 コンテストでは県内から津幡町の高校3年山口真武(まなぶ)さん(18)が優秀賞に選ばれ、羽咋市の高校1年岩本真和花(まなか)さん(16)が入選を果たした。 ●【エッセー本文】「新聞が読みたい」 九十五歳のひいおばあちゃんの朝は、めがねをかけてゆっくり新聞を読むことから始まります。そんな毎日が、一月一日の大地しんでこわされてしまいました。 地しんのショックとつかれで、しばらくぼんやりしていたひいおばあちゃんが、やりたいこととして初めて言った言葉が「新聞が読みたい」でした。 のと町のおじいちゃんの家は、色々なところがこわれてしまいました。 家はかい体されるそうです。そのため、今でもテレビでニュースを見ることができません。 そんなおじいちゃんの家にも、毎朝かならず新聞がとどけられています。 新聞はいたつのおじさんの生活も地しんで大変なのに、あちこちひびわれたり、でこぼこになったりした道を運転して、毎朝、新聞をとどけてくれています。 ひいおばあちゃんもおじいちゃんも新聞をまっています。いつもとどけてくれて、ありがとうございます。