令和の米騒動に便乗?「すき家」「天丼てんや」「ガスト」…外食チェーン次々値上げで値ごろ感減
大手牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーホールディングスは先月22日から、主力の牛丼をはじめ6割ほどのメニューを10~60円値上げした。並盛が20円値上げされ税込み450円となるなど、牛丼の値上げは4月に続き今年2度目。 【写真】“ホリエモン騒動”から1年…広島・尾道の餃子店主は今 ほかにも、天丼チェーン「天丼てんや」やファミレスチェーン「ガスト」などがメニュー価格を引き上げるなど、外食や中食の値上げの背景には国産米の高騰がある。 令和の米騒動と騒がれた今年、新米のシーズンを迎えても価格高騰が収まる気配はなく、基準価格は前年比で3、4割上昇。値上げの影響は家庭だけでなく外食産業も直撃しているが……。 「昨今はコメ以外の原材料費、水道光熱費、人件費の高騰による値上げが目立ちますが、コメだけを理由にした価格改定には違和感があります。確かに、例年に比べてコメ価格は大幅に上昇していますが、バブル崩壊以降の30年で下がり続けてきたのが今年ようやくバブル崩壊直後の価格まで戻った状態なので、高くなったというよりむしろ正常化したというほうが正しいでしょう。逆に、近年のコスト高にかかわらず、これまで我慢してきた農家に後継者が現れない状況をつくってしまったといえます」 こう話す米流通評論家の常本泰志氏によると、今年のコメの平均価格は家庭用が5キロ当たり3500円、業務用が3000円ほど。茶碗1杯当たり業務用で10円強程度の上昇だという。 「外食チェーンでは、ライス1皿が税抜き200円ほど。15%ほどの原価率が20%強に上がった程度で、ダメージはそこまで大きくないはずです」(常本氏) すき家ではコシヒカリやひとめぼれといった国産米を精米後5日以内に使用しているように、コメにこだわるチェーンが増えている。 「業務用でよく使われるブレンド米は、かつて安かろうで味はそこそこというイメージでしたが、昨今は提携農家や商社経由で無名でもおいしい品種のコメを仕入れ、提供しているチェーンもあります」(常本氏) だが、相次ぐ値上げでチェーン店の値ごろ感が失われつつある。 コメの高騰が盛んに喧伝されているが、他の食品に比べて家計に与えるダメージはそこまでではないという。 人口減少で消費が細る中、コメ離れによる離農を防ぐ意味でも、今の価格を受け入れる姿勢が消費者にも企業にも求められると常本氏は話す。