上間綾乃、時代に合わせて進化する沖縄の歌「私なりに歌い継いでいきたい」
受け継ぐだけでなく、私のフィルターを通して新しく発信していくのが使命
今年5月15日、沖縄返還45年目を迎えた。沖縄の歴史と先人たちの思いを引き継ぎ、未来に歌いつないでいくために「PW無情」と「ひめゆりの唄」を新たに沖縄の地でレコーディングした。PWとは“Prisoner of War”(戦争捕虜)の略で、戦争が終わってもなお続く悲痛な心情を訴えた。「ひめゆりの唄」では、沖縄戦で犠牲になった女学生たちのひめゆり部隊を数え歌にして切々と歌い上げた。しかし、上間はこうした節目に、その日だけ特別に何かを発信することには違和感があると話す。 「ちょっと怖いのが、その時だけクローズアップされて、そのあと忘れ去られてしまうこと。だから、私は変わらずずっと歌い続けていくことが大切だと思っています」 さらに「受け継ぐだけではなく、私のフィルターを通して新しく発信していくのが使命。あるものだけをやっていたら、ただ残すだけ、発展しません。図書館の本になって、化石になって博物館に大事にしまわれるだけ。それだと悲しい」 今後も新しいことに挑戦することをやまない。海外のアーティストとステージを共にし、見たこともない楽器とのセッションも楽しんでいきたいという。 ■上間綾乃(うえまあやの) 沖縄県生まれ。7歳から唄三線を習い始め、19歳で琉球国民謡協会の教師免許を取得。2017年に師範免許を取得。2012年に『唄者』でメジャーデビュー。6月21日には通算5枚目となるニューアルバム『タミノウタ』(日本コロムビア)をリリースした。「島唄 南の四季」「PW 無情」「ひめゆりの唄」など新たにレコーディングした9曲と旧作からの7曲で構成。三線の弾き語りとピアノサウンドを中心に、歌い継いでいきたい沖縄の楽曲を収録した。