神田沙也加 居場所探し、もがいた20代 『アナ雪』ヒットで完璧主義やめた
歌番組出演していいのかと悩む日々
さらにもう一つ、神田には悩みがあったという。 「参加させていただき、受け入れてもらえたことに感謝しかありませんが、歌もある作品だったので、私自身も歌番組出演させていただくことが多かったんです。特にエンドソングを歌ったMay J.ちゃんと共演させていただくことも多かったんですね。彼女は自身の名義の曲なので、歌番組で歌うことは正しいことなのですが、あの作品はミュージカルで、私は劇中で歌う役。歌番組でハンドマイクを使って歌っていいものだろうかと悩みましたね」と心情を吐露した。 期待、不安、喜び……色々なことをもたらしてくれた『アナと雪の女王』。 「声優のお仕事もそうですが『やりたいな』や『会いたいな』ということが、あの作品以降の1、2年で一気に叶っていき、本当に大きな波に乗せていただいたという感謝の一方、この波にどこまで流されてしまうんだろうという恐怖もあったんです」と当時を振り返る。 しかし、先ほどの言葉にあった「居場所を見つけて根を張る」という意味では、神田自身ブレることなく、ミュージカルを含め、ライフワークと言える舞台という主戦場にしっかりと根を下ろしつつ、声の仕事など、活躍の場を広げ、しかもその実力は高く評価されている。 そして本作では「別格でやりたいと思っていたこと」という声優、しかも『宇宙戦艦ヤマト』という人気シリーズで、思い憧れていた実力派声優たちと共にアフレコに挑んだ。「夢が一つ叶った日」と感激する一方、「作品ファンを裏切らないように務めたい」と語る神田の表情は、充実感で満ち溢れていた。 (取材・文・写真:磯部正和) ---------------- ■神田沙也加(かんだ・さやか) 1986年10月1日生まれ。東京都出身。声優は「子どものころから最もなりたかった夢」という思いのなか、『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』では女神・テレサ役という重要な役で出演。アフレコ現場では「神々しく」という演出を受けたつつ「見目麗しい少女」というコンセプトのもと、神田らしい表現でテレサに命を吹き込んでいる。