自作の卓球道具を子どもたちへ 五島の40代男性が寄付活動…きっかけは知人の死 長崎
子どもたちへ卓球に親しんでもらおうと、長崎県五島市の会社役員、浦善範さん(44)が自作の卓球道具を寄付する活動を続けている。卓球に情熱を傾けていた知人の死をきっかけに、20代で中断していた卓球への思いが再燃。こつこつと作り続け、贈り先は市内の小中高校、保育園など41カ所、ラケット500本、ボール2千個を超えた。「将来、島から五輪選手が生まれてくれたら」と夢を描く。 浦さんは中学時代から卓球をしていたが、仕事が忙しくなり24歳の時から中断していた。2023年7月、亡くなった知人が病床でも卓球をしたいと願い続けていたことを知り、「夢中になれることの大切さ」を感じ、卓球を再開した。 市内の学校の卓球部の状況を調べると、中学校は2校、高校は1校にしかなく、母校の卓球部もなくなっていることが分かった。卓球の道具も高額化しており、少しでも子どもたちが親しめる環境にと「卓球への恩返し」の意味も込めて道具を贈ることを思い立った。 もの作りが得意な浦さんにとって道具の製作はお手のもの。ラケットはベニヤ板から型を取り、グリップも自作。ラバーは卓球の本場、中国製だ。全て自腹で、費用が足りなくなると趣味の釣り道具を売却して捻出。「卓球の道具作りも趣味のようなもの」と笑う。 16日、浦さんは41カ所目となる富江町のとみえ認定こども園を訪れ、ラケット10本、ボール50個、伸縮ネット5セットを寄贈。ラケットを手に遊ぶ児童たちの様子に「いつか五島からすごい選手が生まれるかも」とうれしそうに眺めた。 「卓球への情熱を呼び起こしてくれた」と亡くなった知人へ感謝し「卓球は子どもからお年寄りまで世代を超えて楽しめる生涯スポーツ。誰もが楽しめる環境をつくっていきたい」と語った。