日本初の“官僚系ユーチューバー” 農水省公式チャンネル5周年 大臣会見アフレコ、ラップで政策紹介も
農水省職員自ら魅力発信
動画投稿サイト「ユーチューブ」の農水省公式チャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」が、7日で5周年を迎えた。日本初の“官僚系ユーチューバー”として、職員自ら農林水産業の魅力を発信。若手の自由な発想を生かした、一見公務員らしからぬ動画がヒットし、登録者数17万人超の人気を誇っている。 農相の会見を方言でアフレコしたり、ラップで政策を紹介したりといった、「政府広報」のイメージを覆す動画が並ぶ。中には数十万~100万回以上再生された動画もある。 「ユーチューバー流行ってるらしいな」。きっかけは、当時農相1期目だった江藤拓農相の号令だった。若者に農林水産業に興味を持ってもらおうと提案。参加したい職員を募り、2020年1月7日に投稿を始めた。 動画作成には、官庁では“異例”のルールがある。「上司は一切口出ししない」というものだ。通常は複数の管理職の決裁が必要だが、「ばずまふ」では誤りや権利侵害がないかの確認はするものの、伝え方は発信者に任せる。江藤農相が自らの「直轄」としたことで実現し、「職員の個性を生かしたタイムリーな発信の実現につながっている」(事務局の同省広報室)。 一躍有名になったのは、新型コロナウイルス禍の真っただ中に投稿した動画だ。冠婚葬祭が自粛となり、花の消費が激減したことを受けて、花を家や職場で飾ってもらえるようアピール。現状を淡々と説明する職員の周りに花が徐々に増え、最後は花に埋もれるシュールさが話題を呼び、消費拡大に一役買った。 発信に携わる職員も180人以上に増え、1日1本を目標に投稿を続ける。事務局は「これから新しい農政が始まるが、堅い話題も広く知ってもらえるよう発信を続けたい」と話す。
日本農業新聞