ネガティブな過去や事情をアピールポイントに 朝倉未来が仕掛ける“偶像じゃないシン・アイドル”像<Dark Idol>
年齢、経歴、一切不問。そんな前代未聞のアイドル・オーディション番組「Dark Idol」が毎週木曜夜9:00からABEMAで放送されている。仕掛けているのは総合格闘家の朝倉未来。挫折(ざせつ)や葛藤(かっとう)を持つ女性の“セカンドチャンス”を応援し、人生を自らの手で変える瞬間を見届けたいーーそんな思いで立ち上げられた同企画。7月18日(木)から始まるサードステージ開始を前に、この今までにないオーディション番組の見どころをおさらいしよう。(以下、#6までのネタバレがあります) 【写真】「ちょっとイラッ」個性あふれる参加者たち。時には衝突も…! ■女性たちの“再挑戦”を応援する「Dark Idol」 「Dark Idol」は、女性アイドルの誕生を目指すオーディション番組。だが、その選考条件はきわめて異例。年齢や経歴は一切問わず、必要なのは“アイドルとして輝きたい”という切実な想いだけ。やむを得ない事情でアイドルになる夢をあきらめた女性や、夢を全うできず過去に悔いを残した女性たちの再挑戦を応援し見届ける、新しい形のオーディション番組だ。 朝倉自ら出向いて終電後の新宿歌舞伎町で働くキャバ嬢たちに“スカウト”も行い、最終候補者を40名に絞り込んだ。その中には“地下アイドル”として長年活動していたメンバーや、デビュー直前で夢が白紙になり悔し涙を流した経験のある者、すでに一度夢を捨てて月間一億円を売り上げる売れっ子キャバ嬢として新たな人生を歩み始めていた者も…。全員が、“やっぱりアイドルをあきらめたくない切実な理由”を胸に、審査に挑む。 ■20名敗退、40名が一気に半数に 審査員は朝倉のほか、元AKB48・総監督の横山由依、音楽プロデューサー兼作曲家の松隈ケンタ、ダンサー兼振付師の周平の4名。加えてオーディション史上初めて、アイドルファン150名が会場で直接審査に加わる。 審査はまず、40名の候補生を第一印象のみでランク付けする「ファーストランキング」からスタート。審査員4名と150名のアイドルファンが候補生たちの第一印象を各10点満点で採点し、ランキングを決定した。その後、#2~#4でランキング上位者から1人、下位者から1人ずつ1対1のファーストステージ「タイマンバトル」を実施。歌唱とダンス、フリーアピールによる審査を60秒の制限時間で行い、一気に半数の20名が敗退した。 ■サードステージ進出者15名の顔ぶれ #5・#6では、セカンドステージ「グループパフォーマンスバトル」が行われた。ファーストステージを勝ち抜いた20名がランキング順に5名1組の即席チームを組み、ここに敗者復活枠の5名からなる敗者復活グループも加わって、5チーム25名がそれぞれ課題曲のNiziU「Take a Picture」をパフォーマンス。制限時間2時間で振付けを覚え、フォーメーションや歌うパートも打ち合わせなければならない。 敗者復活メンバー5名で構成される敗者復活チームも含めた5チームが激突し、Aチーム、Cチーム、そして敗者復活チームがサードステージへ進出を決めた。 Aチームには、「ファーストランキング」1位から5位の“アイドルオーラ”をまとった5名が集まった。小学校の頃から芸能活動をする青山舞莉はアイデンティティに悩む帰国子女。アイドルの夢をかなえ、自らに掛けていた“中途半端”の呪いを解き放つ。デビューを直前で取り消されてしまった苦い過去を持つ深山奈優と栗原きほ、親友と語り合ったアイドルの夢をあきらめられない夏芽すずも、アイドルへの想いは強い。2つのアイドルグループで活動経験がありダンスも得意な前垣さらが中心となり、安定したパフォーマンスを披露し進出を果たした。 Cチームは、個性の強い5名。橋本萌花は、今回が20年続けた芸能活動引退を懸けた最後の挑戦。朝比奈紗杏は韓国の大手芸能プロ所属目前で白紙となった悔しさを今オーディションにぶつける。29歳の崖っぷちアイドル・奈良怜那、大手芸能プロからの誘いを断って参加した福島琉愛も、この番組に人生を懸けている。元“バイトAKB”の木下真佑はファーストステージ勝ち抜けでうれし泣きした熱いハートの持ち主だ。並々ならぬ気合の5人が集まったCチームは審査員からも「ステージ慣れしている」と高評価。5チーム中最高の482点を獲得した。 ファーストステージ敗退者20名から復活を決めたのは、マスクが外せないほどの外見コンプレックスを乗り越えた橘ななみ、アナウンサー試験不採用100局以上で失った自信をアイドルになって取り戻したい岡田えりか、ダンスは誰よりもうまいのにファーストステージでは歌が残念だった大鷹りか、アイドルの夢が三度破れ「今度こそ最後のチャンス!」と捨て身の長與玲花、メイドからアイドルを目指す西島りおの5名。失うもののない強さからステージ全体を使った大胆な構成を考え、強い団結力ですべてを出し切ったパフォーマンスを披露。奇跡のサードステージ進出を果たした。 6年間の地下アイドル活動ののち月間1億円を稼ぐキャバ嬢に転身した星野ティナ、慶應義塾大学卒で上場企業の内定を蹴ってオーディションに参加した石川侑依、「Nizi Project」出場経験のある谷屋杏香といった実力者たちがこのステージで敗退。だが、公式サイトでは脱落者も含めた40人を対象にした投票を現在も開催中。惜しくも脱落した参加者にもまだ可能性は残されている。 ■何度でもトライする生身の“シン・アイドル”たちの物語 「Dark Idol」の新しさは、普通なら隠したくなるような事情や過去を前面に出し、本気度をアピールするところにある。“頑張ったけれど、現実に負けた”“志半ばであきらめざるを得なかった”“年齢的に、これが最後の挑戦だと思う”…。人生の心残りを果たしたいという切実さが、リアルな実感となって見る者の心に迫ってくる。 それぞれにさまざまな過去を抱えて集まった参加者たち。ここから誕生するのは、トイレに行かない“偶像”ではなく、泥くさく自分の人生に向き合って何度でもトライする生身の“シン・アイドル”なのだ。 “応援団長”としてスタジオで参加者の生の声をリポートした峰岸みなみがインタビューで「『Dark Idol』はこうやって背景までも武器にするというのが今までにない新しい切り口」と語っていたように、「Dark Idol」で繰り広げられているのは他のアイドル・オーディションでは見られない切実な想いのぶつかり合いだ。 7月18日(木)放送#7からのサードステージでは、現役アイドルが総勢28組出演するイベントに2チームに分かれて出演するという。自らの過去すらアピールポイントに変えて逞しく夢を掴みにいく彼女たちの挑戦をぜひ目撃してほしい。