「あと2秒あれば…」「子どもたちの応援で頑張ったが残念」 人間の鎖や柵に阻まれたジョガー、リベンジ誓う
約2万1400人が出場した1日のNAHAマラソン。強い日差しが体力を奪う中、それぞれの思いを胸にゴールを目指したジョガーたち。沿道の声援はその背中を押した。42・195キロの各地にドラマがあった。 【写真】制限時間を迎え、「人間の鎖」でコースをふさがれるランナー 八重瀬町東風平の13・5キロ地点では、日差しが照りつける中、午前10時過ぎから大勢のジョガーが通過。通信校教員で那覇市の石垣徳真さん(32)は「足のけがが心配だが、2カ月前から練習を重ねてきた」と前を向いていた。 糸満市摩文仁の平和祈念公園内の第1制限地点では午後0時15分に制限時間を迎え、知念高校野球部が「人間の鎖」でジョガーの走りをせき止めた。壁に阻まれた共に那覇小学校教諭の兼城武さん(39)と松原啓士さん(38)は「子どもたちの応援で頑張ってここまで来たが残念。来年はリベンジする」と声をそろえた。 知念高校野球部2年の津波古広英主将は「両側の人と腕を組んで、自分の手は胸の前で握る知念高伝統の『恋人つなぎ』でジョガーを止められた」と汗を拭った。 29・4キロ地点の糸満市真栄里に職場のグループホームがある宜野湾市の中村豪さん(51)は6年ぶりに参加した。パーランクーや三線で職員や利用者たちの激励を受け「きついけど、元気をもらえた。とにかくゴールしたい」と語った。 那覇市金城のイオン那覇店前の40キロ地点で友人と記念写真を撮っていた比嘉風羽子さん(40)は「とんでもない暑さで、中間地点以降からかなりしんどいが、完走はできそうだ」と笑顔だった。 制限時間の午後3時15分、奥武山陸上競技場ではジョガーの明暗が分かれた。 北海道から初参加した鈴木昭子さん(39)はフィニッシュゲートを最後にくぐった。何度も諦めかけたが「走ればいけるぞ」との声援や氷の差し入れに元気づけられた。「ゴールできたのは沿道の応援のおかげ」と感謝した。 「あと2秒あれば」。与那原町の大澤泰宏さん(66)は目の前で競技場入り口の柵が閉まった。退職後の目標で挑んだ初マラソン。「自分の実力不足。来年は必ずリベンジしたい」と誓った。